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リヴァプール

イギリスの三角貿易の一環である奴隷貿易の拠点として繁栄し、産業革命期は綿布積出港として栄えた。

 イギリス(イングランド)の西海岸にある港湾都市。まず17世紀のイギリスの三角貿易の拠点として、黒人奴隷貿易で繁栄した。18世紀の後半に産業革命が起きると、後背地であるランカシャー地方のマンチェスターを中心に木綿工業が勃興し、その機械製綿布の輸出港となった。1830年にはリヴァプール・マンチェスター鉄道が最初の鉄道営業を開始した。
 19世紀にはアメリカへの移民の出発地として利用された。その後もイギリスの主要な貿易港として続いたが、第二次世界大戦後はイギリス経済全体の落ち込みと共に貿易も不振となり、リヴァプールもかつての繁栄は見られなくなった。しかし、文化面では早くから新しいものを生み出す活力を持っていたのか、特にポピュラー音楽において「リヴァプール・サウンド」が若者の支持を受け、その中から1960年代に彗星のごとく出現したのがビートルズだった。なお、リヴァプールは2004年にその市街地が近代港湾都市の遺構として世界遺産に登録された。

News リヴァプール「危機遺産」に登録

 ビートルズゆかりの地、リヴァプール(リバプール)は18~19世紀の産業革命を機に、ヨーロッパからアメリカに渡る移民や奴隷、物資を中継する「海商都市」として栄えた。世界初の耐火倉庫やドック、船会社のビルなど大英帝国を支えた施設の残る街の一部が2001年に世界遺産に登録され、倉庫やビルの一部はホテルやオフィスになっている。しかし、大戦前に80万を超えた人口は現在、46万ほど。仕事の無い人のいる世帯の割合は40%を越え、イギリスの中で最も高い。市の再生が大きな課題となり、遺跡周囲の緩衝地帯に大規模な商業施設計画が持ち上がった。その計画に対し、ユネスコは2012年、緩衝地帯に高層ビルなどを建設すると歴史的景観が損なわれるとして、リヴァプールを「危機遺産」に登録した。世界遺産としての価値が失われればリストから外す可能性が出てきたのだ。他に内戦状態にあるリビアのパルミラ遺跡など8件が新たに危機遺産に登録された。リヴァプール市関係者は「再生」と「世界遺産」を両立させる計画を練り直すと言っているが、見通しは立っていない。<『朝日新聞』2016年8月5日付け>