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第6章 ヨーロッパ世界の形成と発展

3 西ヨーロッパ中世世界の変容(前)

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ア.十字軍とその影響
 農業技術の進歩  
・11~12世紀のa 三圃制 農業  重量有輪犂 ・水車の改良
  → 生産力向上 → 人口増加 → 西ヨーロッパ(キリスト教)世界の膨張運動 が起こる。

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・耕地の拡大:b 修道院  による開墾運動。
       c オランダ  での干拓。
・ドイツ人のd 東方植民 :エルベ以東のスラブ人の居住区への侵出。
・イベリア半島のe 国土回復運動 :イスラム教に対するキリスト教の攻勢。
・聖地f イェルサレム への 巡礼 の増加。
 十字軍運動 の開始 
・11世紀 中央アジアからイスラーム教勢力のa セルジューク朝 が小アジアに侵出。
  →  ビザンツ皇帝 がローマ教皇b ウルバヌス2世 に救援を要請。
・1095年 教皇、c クレルモン宗教会議 を開催。
  ヨーロッパ諸国の君主・諸侯に聖地回復をめざすして十字軍の派遣を提案し、決議される。
  ローマ教皇側の背景:d 叙任権闘争 における教皇権の優位の確立をはかること。
 十字軍運動の展開  11世紀末~13世紀
第一回  a 1096 年~99年 聖地回復に成功、b イェルサレム王国 を建設。
   →まもなくイスラム勢力回復、激しい抗争が続く。
第二回  1147~49年 独王(コンラート3世)・仏王(ルイ7世)が参加 両者反目し失敗。
   1187年 c サラーフ=アッディーン(サラディン) 率いるアイユーブ朝軍が、
           ヒッティーンの戦い でキリスト教軍を破り、イェルサレムを占領。
第三回  1189~92年 独王d フリードリヒ1世 ・仏王e フィリップ2世 
    英王f リチャード1世 が参加。最大の規模となるが独王途中で溺死、仏王帰国。
   → 英王がc サラディン と単独講和、聖地奪回出来ず。
 十字軍運動の変質  13世紀 背景 1206年 ▲a モンゴル帝国 の成立
第四回  1202~04年 b ヴェネツィア 商人の要求でc コンスタンティノープル を攻撃。

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    その地にd ラテン帝国 を立てる。
    → ローマ教皇e インノケンティウス3世 に破門される。
   f 宗教騎士団 の活動  ドイツ騎士団 テンプル騎士団 ヨハネ騎士団 など。
    巡礼路・聖地の治安維持を目的とした騎士修道団。次第に秘密結社化する。
   1212年 g 少年十字軍 の失敗。
第五回  1228~29年 皇帝h フリードリヒ2世  話し合いで聖地一時回復。
第六回  1248~54年 仏王i ルイ9世 が主導。エジプト攻撃に失敗。
第七回  1270年 同王が主導 海路チュニスに遠征失敗。王も病没。最後の十字軍。 
1291年 十字軍の最後の拠点j アッコン 陥落、イェルサレム王国滅亡。


※十字軍運動の背景
             ┌ ローマ教皇:a 東西教会の統一 を目指す。
             │
  宗教的情熱以外の   │ 諸侯・騎士:新たなb 領地と戦利品 を求める。
             │
    十字軍参加の意図 ┤ イタリア諸都市 の商人:c 商業的利益 の拡大。
             │
             └ 農民:▲d 負債の帳消し、農奴身分からの解放 

※十字軍運動の結果
 a 聖地回復には失敗 、その後の西ヨーロッパ世界に大きな影響を与える。
 影響 1.聖地回復の失敗 →b 教皇の権威の動揺  
    2.遠征軍の指揮を執ったc 国王の権威 高まる。
      → 一方、長期の遠征により、d 諸侯・騎士の没落 が始まる。
    3.十字軍の出港地 →e イタリア諸都市の繁栄 
      → 地中海でのf 東方貿易 の再開 → 商業の復興。
    4.g ビザンツ、イスラーム文化の流入 → 西ヨーロッパの世界観の転換。

イ.商業の復活

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 商業ルネサンス  背景 11~12世紀 農業生産力の増大
 → 余剰生産物の増大 →定期市などa 都市と商業  の復活
  ムスリム商人・ヴァイキングの商業活動 →b 貨幣経済 の復興
  交通の発達→ c 遠隔地貿易 の発達。これらの動きをd 商業ルネサンス ともいう。
 地中海商業圏 
・北イタリアの港市の発展 a ヴェネツィア ・b ジェノヴァ ・c ピサ 
  東方からd 香辛料  絹織物 などを輸入 → アルプス以北の銀と交換し利益を上げる。
  イタリア内陸都市 e ミラノ ・f フィレンツェ  毛織物、商業・金融業で栄える。
 北ヨーロッパ商業圏   北海・バルト海沿岸
・北ドイツ諸都市 a ハンブルク ・b リューベック ・c ブレーメン など
   海産物・木材・穀物などを取引
  d フランドル地方 :e ガン(ヘント) ・f ブリュージュ など 羊毛工業
   イギリスのg ロンドン  北海貿易の中心地。フランドルに羊毛を輸出。
D 内陸交通路上の都市
  a シャンパーニュ 地方 地中海と北ヨーロッパをむすぶルートに定期市が発達。
  ドイツ内陸の商業都市 b ニュルンベルク 、c アウクスブルク 
  バルト海沿岸→d ノヴゴロド → ドニェプル川中流のe キエフ →黒海方面と交易。
ウ.中世都市の成立

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 自治都市の成立  中世都市=a 司教座都市 から発展、封建領主の支配受ける。
・11~12世紀 領主が都市への課税を強化→ 都市の抵抗強まる。
  国王(ドイツ皇帝)からb 特許状 をえて自治権を獲得、自治都市となる。
  自治権の地域による強弱
   c 北イタリア :領主である司教から自立して自治都市(d コムーネ )となる
     周囲の土地を含む商人中心の独立した都市国家(共和国)となる。
   e ドイツ :皇帝直属の自由都市(f 帝国都市 )として諸侯と同じ地位に立つ。
     他は、封建領主の保護を受けて納税の義務を負う。
   イギリス・フランスの諸都市:国王との結びつきが強く、自治都市は発達せず。
 都市同盟の形成  12~16世紀
 → 都市が封建諸侯と対抗するため都市同盟を結成。
・北イタリア:a ロンバルディア同盟  ミラノ中心に、ドイツ皇帝に対抗。
  → 1176年▲ レニャーノの戦い で同盟軍が神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世軍を破る。
・北ドイツ :b ハンザ同盟  c リューベック を盟主とし最盛期に約70市参加。
  = 独自の軍隊を持ち、14世紀には北ヨーロッパ商業圏を支配した。
    商館を置いた「外地ハンザ」の4拠点:ロンドン、ブリュージュ、ベルゲン、ノブゴロド
 それに対し、イギリス・フランスの都市は国王との結びつきが強かった。

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エ.都市の自治と市民たち
 ギルド の結成   11世紀 ドイツで典型的に発達する。
・自治都市は周囲を城壁で囲まれ、周辺の荘園から農奴が都市に逃げ込み、自由身分を獲得。
  ドイツでは▲a 「都市の空気は自由にする」 と言われた。→ 都市人口の増大。
  b ギルド の結成 = 相互扶助と経済的利益保護のための同業組合であるが、
    自治を獲得した都市では、その自治運営の基礎的な組織となる。
 商人ギルド    11世紀以降、ドイツ各都市に成立。
 → はじめは遠隔地貿易で利益を上げた大商人を中心にして結成される。
   ギルドの運営権を握り市政も独占。 → 手工業者の不満強まる。
 同職ギルド  12世紀前半より結成。
 → 商人ギルドに不満を持つ手工業者が、独自に業種別の組合を結成するようになる。
  13世紀 大商人の商業ギルドと争いながら、次第に市政への参加を実現。
   =ドイツ諸都市でのb ツンフト闘争 の展開。
  同職ギルドの構成員は独立したc 親方 のみ。d 職人 ・e 徒弟 は厳しく区別。
   ギルドの機能  e 自由競争の禁止。商品の品質・規格・価格の統制。市場の独占。 
D 有力市民の登場 
・15~16世紀 ドイツのアウグスブルクのa フッガー家  銀山を支配し蓄財。
    16世紀には、金融業を営み、ドイツ皇帝や教皇にも融資し、その地位を左右した。
  15世紀 イタリアのフィレンツェのb メディチ家  冨を蓄積し、市政をも独占。
    一族からローマ教皇を出す。 → ルネサンス芸術の保護者となる。
オ.封建社会の衰退
 荘園制の崩壊  14世紀~商業と都市の発展→a 貨幣経済 の荘園への浸透
 → 領主はb 賦役 をやめ、直営地を農民に貸しc 貨幣地代 を納めさせるようになる。
   →農奴は生産物を市場で貨幣に換え、次第に貨幣を蓄えて経済的な地位が向上。

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 農奴の解放   英仏のa 百年戦争 (1339~1453)と並行して進行している。
・1348年 b 黒死病(ペスト)   の大流行:農村人口激減 → 農民への待遇改善
   →農奴の解放進み、独立自営農民(イギリスでc ヨーマン という)が増加。
 農民一揆の発生   領主の財政難→農民への課税強化(a 封建反動 )→農民の抵抗
・百年戦争の最中に、両国で農民一揆が起こる。
 1358年 フランスのb ジャックリーの乱 
 1381年 イギリスのc ワット=タイラーの乱  
    一揆の指導者の一人、僧侶 ジョン=ボール の言葉
    ▲d “アダムが耕しイブが紡いだとき、だれが領主だったか。” 
   → 一揆は鎮定されたが、彼らの要求は次第に実現していく。
 騎士(中小領主)の没落 
・a 荘園制の崩壊 によって、領主は領地の農民から地代だけを取るb 地主 となっていく。
・c 火砲の使用 など戦術の変化  → 騎士の戦術上の価値の低下。
・国内市場の統一を望む市民の成長 → 国王と協力して諸侯を抑える。
     → 中央集権的な政治権力の出現を望むようになる。

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・諸侯・騎士は国王に従属し、国王に仕える廷臣(宮廷官僚)となっていく。
  → 反比例して国王・大領主の力は拡張され、中小領主の荘園が国王や大諸侯に奪われる。
  → 封建社会は解体し、国王に権力を集中させたd 主権国家 (領土・国民を有する中央集権国家)
    への歩みを始める。
E 社会不安の拡大  中世末期(14~15世紀)
・飢饉・疫病(黒死病など)・戦乱(百年戦争) → 社会不安の増大
 → a ユダヤ人 に対する迫害:キリスト教世界で信仰を守る → 職業的・経済的差別 →
  ▲b ゲットー への強制隔離 → 社会的不安の解消を少数者に転嫁する動き強まる。
カ.教皇権の衰退
 教皇権と王権の対立     十字軍の影響 →国王の強大化 →ローマ教皇権の衰退。
・ローマ教皇a ボニファティウス8世  イギリス・フランス両国王に対抗。
 1303年 b アナーニ事件 :フランス王c フィリップ4世 が、聖職者への課税を要求。
   → 反対した教皇を捕らえ幽閉。教皇は釈放後、屈辱のうちに憤死。
・1309年 d 教皇のバビロン捕囚  :フィリップ4世 ローマ教皇をフランスの
    e アヴィニョン に移し、その支配下におく。→1377年まで。
 教会の大分裂   a 大シスマ という。1378年~1417年まで。
・教皇庁がローマに戻るとフランス王の後援で、b アヴィニョン にも教皇が立つ
   → ローマとアヴィニヨンに教皇が同時に存在。それぞれが正統を主張。
   →c ローマ=カトリック教会 の権威の衰え → 教会の世俗化・腐敗が進行。
   → 教会批判が強まる → d 異端審問 ・e 魔女裁判 で教会批判を封じる。

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 教会改革の開始   後のa 宗教改革 の先駆的役割を果たす。
・14世紀後半イギリスのb ウィクリフ =カトリック教会の腐敗を非難、教皇に対する
   イギリスの政治・宗教上の独立を主張。→c 聖書の英語訳 、民衆への布教。
・ベーメン(ボヘミア=現チェコ)のd フス   聖書にもとづく信仰を説く。
 コンスタンツの公会議  1414~18年 神聖ローマ皇帝 ジギスムント が召集。
・カトリックの混乱収束を目指し、ローマ教皇を正統と認め統一教皇をたてる。
  =a 教会大分裂 終る。同時にフスらを異端として火刑。
 → 1419~36 ベーメンでb 農民戦争(フス戦争) 続く。
16世紀 c 宗教改革 の時代へ(後出)



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