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第9章 近代ヨーロッパの成立

1 ヨーロッパ世界の拡大

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ア.大航海時代
 大航海時代   15世紀末から16世紀 ヨーロッパ人の海外進出が展開される。
・背景:十字軍以来、a マルコ=ポーロ の著作、b 『世界の記述』 などに刺激され、
     アジアへの関心が高まる。
    羅針盤の改良・快速帆船の普及・緯度航法など、c 遠洋航海術 の発達。
    ヨーロッパでの肉食の普及 → d 香辛料 の需要の増大。
    イベリア諸国のe レコンキスタ(国土回復運動) の進行にともなうキリスト教の
     布教熱の高まり。
・直接的要因:15世紀 e オスマン帝国 の地中海東岸制圧 → 東方貿易ルート遮断。
  → f ムスリム商人 を介さず直接にg 香辛料貿易 を行い利益を上げようとした。

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 ポルトガル の進出 15世紀 君主権を確立。商人によるアフリカ西岸の探検開始。
・「航海王子」といわれた皇太子a エンリケ がアフリカ西岸探検事業を推進。
 ▲1415年 ジブラルタル海峡アフリカ側の港b セウタ を攻略。アフリカ西岸進出の拠点とする。
 ▲1432年ごろ 大西洋上のc アゾレス諸島 を領土にする。
 ▲1445年 アフリカ西端のd ヴェルデ岬 に到達。
 15世紀後半 国王アフリカ西岸での奴隷貿易始める。
 インド航路の開拓  15世紀末 ポルトガルのa ジョアン2世 のもとで進行。
・1488年 b バルトロメウ=ディアス  アフリカ南端のc 喜望峰 に到達。
・1498年 d ヴァスコ=ダ=ガマ 、インド西岸のe カリカット に到着。
  →  ムスリムの水先案内人▲f イブン=マージド を雇い、その手引きでアラビア海を横断。
  → インドとの香辛料の直接取引 → ポルトガルの首都g リスボン の繁栄。

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イ.アメリカ大陸への到達
 スペイン の進出
・前提 1492年 a レコンキスタ を完了。 → ポルトガルに対抗しアジア進出をめざす。
・女王b イサベル がc コロンブス (ジェノヴァ人)を西回りでインドに派遣。
  ← d トスカネリ (フィレンツェ人)の世界球体説を信じる。
・1492年 現在の 西インド諸島 (e サンサルバドル島 )に到達。
  → インドに到達したと信じ、その住民をf インディオ と呼ぶ。
 ポルトガルとスペインの世界分割 
・1493年 a 教皇子午線 :▲b アレクサンデル6世 が設定。
 1494年 c トルデシリャス条約 締結:教皇子午線(1493年)を西に移動させる。
    → 新大陸のd ブラジル はポルトガル領、その他はスペイン領となる。
 アメリカ大陸 への到達
・1497年 ▲a カボット (イタリア人)イギリス王の援助で北米探検。
 1499年 b アメリゴ=ヴェスプッチ (イタリア人) 南アメリカを探検、新大陸であることを確認。
  → 1507年 ドイツの地理学者が彼の名にちなみ新大陸をc アメリカ大陸 と命名。
 1500年 d カブラル (ポルトガル人) ブラジル漂着 ポルトガルのブラジル支配始まる。
 1513年 ▲e バルボア (スペイン) パナマ地峡横断 太平洋岸へ初めて到達した。
 ▲新大陸からもたらされたもの:f トウモロコシ 、g ジャガイモ 、h タバコ など。
 世界周航  
・1519年 a マガリャンイス  (ポルトガル人)がb スペイン 王(カルロス1世)の命令で
       モルッカ諸島をめざし西回りで出発。c マゼラン海峡 を抜け、d 太平洋 に到達。
  → 1521年 e フィリピン のセブ島に到達、現地の首長 ラプラプ と戦い、殺される。
  → 1522年9月 部下がスペイン帰着、世界周航を達成し地球球体説が証明される。
 1529年 ▲f サラゴサ条約 :スペインはg モルッカ諸島 をポルトガルに割譲。
 スペインによる新大陸征服  
・スペイン王室はa 征服者(コンキスタドール) のひきいる軍隊を新大陸に派遣。
 1521年 b コルテス がメキシコに侵入し、c アステカ王国 を滅ぼす。
  → 反アステカ勢力を利用してアステカ帝国を征服した。
   ▲ユカタン半島では、マヤ文明の系統の国々が17世紀まで存続した。
 1533年 d ピサロ がペルーに侵入しe インカ帝国 を滅ぼす。
  → f 火砲と騎兵 の威力により征服。クスコを略奪し、新しい首都リマを建設。
   ▲ インカの反乱 が続くが、1572年までに鎮圧される。
・スペイン人植民者は、g インディオ を労働力として酷使 → 人口激減する
  → 聖職者h ラス=カサス 、インディオの悲惨な状況を告発。

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・まとめ スペインによるラテンアメリカ植民地経営形態の変遷
▲15世紀末~18世紀のスペインによる新大陸a 植民地経営 の変遷。
 時期によっていくつかの形態の違いあることに注意する。
1.直営地割当方式 :
・1499年 イザベラ女王は西インドを王室直営地とし、貿易はセビリヤの貿易商に独占させる。
 現地経営は割当経営(レパルティミエント)を認められた者がインディオを強制労働と貢納で使役し経営。
 (コロンブスもその一人)。
2.b エンコミエンダ制 
・1508年頃から始まった、インディオへのキリスト教の布教を条件に、農園経営をスペイン人入植者に
 委託する方式。インディオには一定の保護が加えられたが、実態は強制労働に変わらなかった。 
  → インディオの減少。
3.c 黒人奴隷 の導入:
・1501年、インディオの惨状を見た宣教師d ラス=カサス は、アフリカからの黒人奴隷の輸入を主張。
 1517年 カルロス1世、e アシエント (黒人奴隷貿易の特権)を認める。
  → この特権はジェノヴァ商人が手にする。西インドの鉱山・農場にひろがる。
4.f アシエンダ制 
・16世紀後半以降、入植者が農地を購入し、現地人の債務者を労働力(債務奴隷)とし、現地消費用の
 穀物を生産する大農園。特に17~18世紀のメキシコで発展。
5.g プランテーション 
・現地人または黒人奴隷を労働力とし、単一の商品作物を輸出用に生産する大農場経営。
 16世紀のポルトガル領ブラジルでの砂糖の生産に始まり、オランダ、イギリス、フランスなどによる
 西インド諸島での砂糖・たばこ・コーヒー、イギリスによる北米南部での綿花栽培などが行われた。
 旧大陸とその周辺のインドやスリランカでの茶、東南アジアでのゴムなどもその例である。
・19世紀にラテンアメリカ諸国が独立するが白人入植者によるプランテーション経営は続いた。
ウ.商業革命と価格革命
 15世紀末~16世紀の大航海時代の影響 =a 世界の一体化 が始まる。
1. 商業革命 
 大航海時代の始まりに伴い、ヨーロッパの商業のあり方が大きく変化した。
  内容 ・a 商業の取引範囲が世界的に広がり、商品の種類・取引額が増大した。 
     ・b 遠隔地貿易の中心が地中海沿岸から大西洋沿岸に移動した。 
     ・関連して金融システムの発達と銀の大量流通に伴う価格変動(価格革命)。
 → 従来の北イタリア諸都市のc 東方貿易 は衰退。
   大西洋岸の都市では、リスボンやd アントワープ などが新たに繁栄。
   → 世界商業圏の形成 → 海外市場拡大 →e 資本主義的世界経済 の形成をうながす。 
2. 価格革命 
 1545年 a ポトシ銀山 発見される。スペインが独占。
 → ラテンアメリカのb 銀 が大量にヨーロッパに流入。
 ・大陸産の銀の大量流入によりヨーロッパの物価が急上昇した。
  物価急上昇の影響 c 領主 の没落
  理由 d 物価が騰貴したため、固定地代の収入に依存している封建領主が没落した。 
 ・さらに、e メキシコ銀 で鋳造されたf スペイン銀貨 は中国の明にももたらされ、
  アジア経済に大きな影響を与えた。(前出)
3.ヨーロッパ東西での分業体制
 ・西ヨーロッパ地域:商工業の発達、大都市の出現、人口増加 → 食糧不足
              → 東ヨーロッパからの穀物輸入に依存するようになる。
 ・東ヨーロッパ地域(エルベ川以東):西ヨーロッパ輸出用の穀物生産が増加 → 
   領主が輸出用穀物を生産する直営地経営=c 農場領主制(グーツヘルシャフト) がひろがる。
  → d 農奴 への支配を強化する。
  → このような東ヨーロッパにおける農奴制の強化をe 再版農奴制 という。※
※補足 ▲f 「近代世界システム」 の成立

16世紀、次の三つの地域からなる世界分業体制が成立

  ┌ 中核:西欧地域では賃金労働による商工業と自営農民(ヨーマン)による農業経営
  │
  │    ┌ 東欧では 再版農奴制 による輸出用穀物栽培
  ├ 辺境:┤
  │    └ 新大陸では エンコミエンダ制 (先住民に対する強制労働)による商品作物栽培
  │
  └ 半辺境:南ヨーロッパ地中海地域では 分益小作制 による農業

このような「中核」「辺境」「半辺境」からなる「ヨーロッパ世界経済」の成立を「近代世界システム」

ととらえたのは現代の歴史学者・社会学者ウォーラーステインである。



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