印刷 | 通常画面に戻る |

サッファール朝

9世紀後半にイランに現れたイスラーム地方政権。

 アッバース朝治下の現在のイランとアフガニスタン国境近くのスィースターンを本拠にして、867年アミールのヤークーブが独立を宣言したイラン系のイスラーム独立王朝。873年にはホラーサーンターヒル朝を滅ぼした。903年に同じイラン系のサーマーン朝に服属し、1003年にガズナ朝によって制圧された。サッファール家はその後もスィースターン地域の名家としてセルジューク朝、イル=ハン国時代も存続した。

Episode ヤクザあがりの支配者

 9世紀のイスラーム世界の都市では、アイヤールと呼ばれる任侠集団(ヤクザ)が存在した。サッファール朝の創始者ヤークーブもその一人で、もとは銅細工師でアイヤールに投じて強盗団の頭目となり、配下の騎兵を得てアミールまで出世してスィースターンの支配者になったという。アラビア語で銅細工師のことをサッファールというのが王朝名の由来である。サッファール家はその後もサーマーン朝やガズナ朝の軍隊と戦い続け、15世紀まで存続したのには、民衆の支持があったためであろう。<『都市の文明イスラーム』新書イスラームの世界史1 講談社現代新書 清水宏祐 p.105> 
印 刷
印刷画面へ