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コント

フランス七月王政期に実証主義哲学を提唱し、「社会学の父」と言われる。

オーギュスト=コント(1798~1847)はフランスの七月王政期に活躍した哲学者であり、『実証哲学講義』(1830~42)を著して、実証主義哲学を確立した。そこでは人間の知性は、想像力が支配する「神学的状態」から、抽象的思惟を主とする「形而上学的状態」を通って、事物の観察を主とする最後の段階である「実証的状態」に到達する、と説かれている。そして学問の各分野は対象を異にしているが、そこで一貫しているものは実証的方法であり、いまや人間社会も実証的方法によって研究され、社会学が科学として成立しうるようになった、と主張している。彼が主として努力したのは、政治の科学的基礎を固めることであった。・・・

コントの実証主義の影響

 コントの実証主義哲学は1848年以後に影響を広げていった。1848年革命がルイ=ナポレオンの独裁に終わったことは、知識人たちに挫折感を味わせた。・・そこで人間が生き苦しんでいる社会とは何なのか、知識人たちは問いはじめた。ここにコントの実証主義哲学によって提供された社会学や政治学が注目されるようになった。そして文学・芸術の世界のなかにも、その影響は広がり、写実主義時代を産みだした。写実主義は、文学ではフローベールの『ボヴァリー夫人』『感情教育』、美術ではドーミエやミレーに代表され、ロマン主義に代わる新しい潮流となった。<前川貞次郎/望田幸男『世界の歴史 16 ヨーロッパの世紀』1978 講談社 p.212-215>
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ノートの参照
第12章4節 イ.哲学と人文・社会科学