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スタインベック

アメリカの1930年代を代表する作家。代表作『怒りの葡萄』などがある。

 John Steinbeck(1902-1968)  アメリカ文学では1930年代作家といわれるバージニア=ウルフやサロイヤンなどと同じ20世紀生まれの世代に属する。カリフォルニア州サリーナスのドイツ系移民の子として生まれ、農園の手伝いをしながらハイスクールを卒業、スタンフォード大学に入学したが学費が続かず退学し、ニューヨークに出て文筆で生活しようと決意した。仕事を転々とするうちに世界恐慌にあたり、貧困の中で作品を発表し続け、ようやく1935年『トーティーヤ台地』、37年『二十日鼠と人間』で注目されるようになった。
 その目は世界恐慌後の社会をするどく見つめ、労働問題を正面から取り上げ、商業主義を厳しく批判し、1939年『怒りの葡萄』に結実した。この作品は彼の最高傑作としてだけでなく、1930年代アメリカ文学を代表するものと評価されている。第二次世界大戦後は1952年に自伝的な『エデンの東』を発表、1962年にノーベル文学賞を受賞した。

『怒りの葡萄』で描かれた大恐慌下の西部

 オクラホマの開拓農民ジョード一家は、土地を買い占めた地主のトラクターに追い立てられる。広告でみたカリフォルニアのぶどう園で働こうと決意し、国道66号線を西に向かう。ようやくたどり着いたカリフォルニアは天国ではなかった。働き手は街にあふれ砂漠の中のキャンプで食うや食わずの生活を強いられる。彼らはオーキーと言われて差別され、けんかも絶えない・・・カリフォルニアで実っているのは「怒りの葡萄」(The Grapes of Wrath)であった。やがてキャンプの仲間と不正に向かって起ち上がるが・・・。砂嵐のふきすさぶ1930年代の西部の、フーバー村と言われた失業者村での生活がスリリングに描かれている。『怒りの葡萄』はジョン=フォード監督、ヘンリー=フォンダ主演で見事に映画化された。


スタインベック/大久保康雄訳
『怒りの葡萄』上
Kindle版

スタインベック/大久保康雄訳
『怒りの葡萄』下
Kindle版