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2013年度 詳説世界史 準拠ノート

Text p.27

第1章 オリエントと地中海世界

第2節 ギリシア世界

用語リストへ ア.地中海世界の風土と人びと
■ポイント ギリシアの本土だけでなく、地中海全域にギリシア人の世界が広がった。
 地中海世界 の環境
 ・地中海の海上交通が発達し、沿岸部の都市を結ぶ文化圏が発達した。
 ・地形 陸地は山が多く、平地が少ない。  ・気候 夏は暑く乾燥、冬は温暖。(地中海性気候)
 ・穀物生産地帯 = ナイル川下流のb エジプト とc 黒海 沿岸などに限られていた。

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  → 他は石灰岩質の土壌で穀物生産に向かず。
 ・沿岸部の産業 オリーブ・ブドウなどのd 果樹栽培 とd 羊の牧畜 。→ 穀物は輸入に依存。
 ・地中海で活動する民族 = f ギリシア人  イタリア人  インド=ヨーロッパ語系。
 → メソポタミア文明・エジプト文明・フェニキアの文化など、オリエントの影響を受ける。
用語リストへ イ.エーゲ文明
■ポイント エーゲ文明は青銅器文明であり、クレタ文明とミケーネ文明の二段階にわかれる。
 ・a エーゲ文明  前3000年紀はじめ、エーゲ海域にオリエント文明の影響をうけて
  b 青銅器文明 が成立。
クレタの壺

クレタ文明に見られる壺絵

 クレタ文明  前2000年ごろに繁栄。
・a クレタ島 のb クノッソス を中心に文明が栄えた。
  = 民族系統は不明。強力な王権のもとに、海上王国を形成した。
・文化 宮殿は城壁を持たず開放的。壁画や壺の絵の題材は海洋生物が多い。(右図)
    線文字Aが使用されていたが、未解読。
 特色 c 海洋民族らしい開放的な文明。 
 ミケーネ文明   前2000年頃か、北方から ギリシア人 が本土に南下。
・前16世紀 ギリシア本土にb ミケーネ ・c ティリンス ・d ピュロス などに小王国を建設。
  → 巨石で出来た城塞王宮を建設、戦闘的で軍事に関心が強かった。
・前15世紀 b ミケーネ が有力となり、クレタ島を征服。
  → 同じ頃、小アジアにはe トロイア 王国も征服。
  = ギリシア神話のf トロイア戦争 として伝わる。

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・社会:粘土板に残されたg 線文字B の解読の結果、明らかになった。
  = 専制的な国王が、農民から農産物を貢納させるh 貢納王政 の仕組みができあがっていた。
・前1200年ごろ滅亡。系統不明のi 海の民 と言われる民族の侵入を受け、滅びる。

解説

 ミケーネ文明は一般にギリシア人の一派アカイア人が、ギリシア本土のミケーネなどに形成した青銅器文明で、独自の線文字Bを使用していた、とされる。前12世紀に突然消滅するが、その原因はかつては「ドーリア人の南下によって滅ぼされた」とされていたが、現在は「海の民」の侵攻を受けたため、という説が有力である。「海の民」については前節のオリエントを参照。また同時に、ミケーネ王国内部の対立や、飢饉や疫病なども考えられているが、まだ定説はない。
 暗黒時代   前1200年頃から約400年間、混乱が続く。
・a 鉄器 を武器とする民族の侵入。人口が減少し、線文字Bも忘れ去られる。
・ギリシア人の分化 移動を繰り返す間、地域的な方言の違いが生じ、いくつかに分化する、
  → b イオニア人 、c アイオリス人 、d ドーリア人 に分かれる。
・※意味 e 青銅器文明であったエーゲ文明が消滅し、新たな鉄器文明であるギリシア文明に移行した。 

解説

 暗黒時代は、「文明が破壊された時代」で線文字Bなどの文字も忘れられてしまったため名付けられたが、最近ではけっして「暗黒」だったのではなく、新しい鉄器文化への移行期であり、同時にポリス社会が形成された時期であったととらえ、「初期鉄器時代」と言われるようになっている。
・ポリス社会の成立へ
線文字B

線文字B

■エーゲ文明の解明
・a シュリーマン :ドイツ人の実業家 1870年代トロイア遺跡・ミケーネ遺跡などを発掘。
・b エヴァンス :イギリスの考古学者  1900年代 クノッソス遺跡の発掘。
・c ヴェントリス :イギリスの建築家  1952年 線文字B(ミケーネ文字)を解読。

解説

 シュリーマンの発見は、それまで神話に過ぎないと言われていた「トロヤ戦争」がある程度事実を反映していることがわかり、トロヤやミケーネの存在が明らかになった。
 エヴァンスの発掘はエーゲ文明最古のクレタ文明の存在を明らかにした。また、ヴェントリスの線文字Bの解読によって、ミケーネ時代の社会の実態の究明が進んだ。

◎学習のポイント 古代ギリシアの重要地名

古代ギリシアの重要地名
  1 クノッソス 
  2 ミケーネ 
  3 ティリンス 
  4 ピュロス 
  5 トロイ 
  6 アテネ 
  7 スパルタ 
  8 テーベ 
  9 コリント 
  10 ミレトス 
  11 デロス島 
  12 デルフォイ 
  13 オリンピア 
  14 ペラ 

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用語リストへ ウ.ポリスの成立と発展
・a ポリス の成立 前8世紀 いくつかの集落が連合し、b アクロポリス (城山)を中心に
 c 集住(シノイキスモス) して、城壁をもつ都市を中心にd 都市国家 を成立させた。
 → 社会の安定 → 人口の増加 → 土地の不足 → e 植民活動 に進出する。
 ・主な植民市 f マッサリア 、g ネアポリス タレントゥム
   シラクサ 、h ミレトス 、i ビザンティオン 、ナウクラティスなど。(教科書 p.27 参照)
 ・地中海の商業活動 → j フェニキア人 と競合しながら文字を学び、k アルファベット を作る。
・ギリシア人の同胞意識 ポリスの分立が続き、統一国家はできなかったが、言語・神話などの文化は共有した。

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 = 自らをl ヘレネス といい、異民族をm バルバロイ と言って区別した。
・共通行事 n デルフォイの神託  各ポリスが戦争や植民の可否をアポロン神の神託に従った。
      o オリンピアの祭典  4年に一度、ポリス代表が神々の前に競技を奉納した。

補足 オリンピア競技会

オリンピア競技会は前776年に始まったとされている。祭事中は「神聖な休戦」が守られ、ポリス同士の戦争は休戦した。この行事はローマ時代まで継承されたが、ローマ帝国でキリスト教が国教とされた後の393年に、異教の行事として停止された。近代オリンピックは、フランス人のクーベルタン男爵の提唱によって、第1回が1896年にアテネで開催された。

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用語リストへ エ.市民と奴隷
■ポリス社会  ポリスの市民は貴族と平民によって構成される。他に多数の奴隷が存在した。
 ポリスの市民  自由民であり、ポリスの政治に参加する市民権を持ち、防衛に当たる。
 a 貴族  血統を誇る富裕者。武器と馬を所有し、騎士としてポリスの防衛の中心となる。
 → *前8世紀半ば頃から、王に代わって貴族から選ばれたアルコンがポリスの統治に当たった。
 b 平民  土地と奴隷を所有し、耕地を経営しながら平等な市民団として防衛に当たる。
 → 前前7世紀ごろから、経済活動の活発化に伴い、貴族と対等な権利を要求して争うようになる。
   これ以外に在留外人(メトイコイ)は自由身分であったが、市民権はなかった。
 奴隷  人格を認められず、売買の対象となり、市民に所有され、生産に従事。
 → 供給源は、借財によって没落したa 債務奴隷 、b 戦争捕虜 、海外から輸入された異民族など。
■ポリスの構造 教科書p.30の図で、ポリスの公共機関の建物配置を見ておこう。
・城壁で囲まれた市域(中心市)と、周辺の田園(農地)とからなる。
 中心部 a アクロポリス   = 市の守護神を祭るb パルテノン 神殿のある丘。公金を保管する金庫。
     c アゴラ  =d 城山のふもとにある市民の集会・裁判・取引の行われる公共広場。 
  周辺部 城壁の外側に広がる田園には平民の「持ち分地」=e クレーロス がある。
  → 持ち分地を所有し、奴隷を使用して経営する農業市民がポリス市民団の中核となる。
・ギリシア文明はポリスの上に築かれた。 → アリストテレス 「f 人間はポリス的動物である。 

補足

 アリストテレスは、「人間はポリス的動物である」と定義している。一方で、その著『政治学』の中では奴隷制度を肯定している。アリストテレスの論拠は、ポリス市民が完全な人間であり、奴隷は支配されるように生まれついた不完全な人間であるから、市民が奴隷を所有することは当然のことでありというものであった。またそのような奴隷を獲得する戦争は、狩猟で獣を捕らえるのと同じ自然な行為だ、とも言っている。古代ギリシアにおいては、奴隷の存在は特に疑問視されることはなかった。

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Text p.31


用語リストへ オ.アテネとスパルタ
■ポイント 代表的な二つのポリスの違いを理解しよう。
 アテネ  総人口は約25万。ポリスの中で最大。
 イオニア人 の集住によってアッティカ地方に形成した非征服型ポリス。
 → b 奴隷制度 が最も発達し、総人口の約3分の1をしめる。
 = 大多数が異民族奴隷で、c 家内奴隷 ・農業奴隷が多いが、手工業や銀山でも使役。
 → *d ラウレイオン銀山 の奴隷労働が有名。
 スパルタ 
 ドーリア人 が先住民を征服してペロポネソス半島に作った征服型ポリス。
 支配層:征服民が支配層を形成し、中心部に住む少人数の富裕な市民となる。
 被支配層:b ヘイロータイ(ヘロット)  =征服された先住ギリシア人。農地を耕作。
 中間層:c ペリオイコイ  =ドーリア人。参政権のない半自由民。商工業に従事。従軍義務はあり。
 → d 軍国主義 体制をとる。伝説的な立法者e リュクルゴス が定めたとされる。
 = 男性市民に対し、きびしい軍隊的生活規定を要求した。(集団教育、ヘイロータイ殺しなど)
   その理由 f 少数のドーリア人支配者が、多数のヘイロータイやペリオイコイを支配するため。 

解説「スパルタ教育」の実態

 「スパルタ教育」とは、軍国主義のもとで、強い市民を育てる手段だった。子供が生まれると、部族員の集まる集会所で検査され、健康と体力に弱点のあるものはタイゲトス山麓の穴に落とされた。これは、子供は親の私物ではなく、国家のものである、という考え方から生まれた制度である。子供は7歳になると国家の養育所に入れられて、少年隊に編入され、共同生活の中で、思慮深さとか勇気・忍耐など、長じてスパルタ市民として有能なものになるための「良さ」すなわちアレテーをつくりだすように仕向けられる。また、市民の子供には「ヘイロータイ殺し」といって、道でであったヘイロータイを殺すことが勇気のある行いとして奨励された。……
・前6世紀半ば頃までに強大な陸軍国となりアテネなどと抗争した。

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Text p.32


用語リストへ カ.民主政へのあゆみ
■ポイント 代表的ポリスであるアテネでの、ポリス民主政の段階的な発達を跡づけること。
 貴族共和政 
・はじめはa 王政  Monarchy 有力者を王として集住を開始。
・8世紀 b 貴族政  Aristocracy 富裕者が騎兵としてポリスの防衛に当たり、貴族層を形成。
 → *a アルコン が貴族から選出され、行政、軍事、祭祀、法律の制定などの権限を持つ。
重装歩兵密集部隊

頭を兜、上半身を鎧で守り、盾を並べて密集し、槍をそろえて進軍する。

 平民の成長 
・前8世紀中頃 ギリシア人のからa 植民活動 活発となり、
 b 貨幣経済 が発達 → 商・工業の勃興。
  → c 武器が安価になり、平民も武具を自弁が可能となる。 
    ポリスの防衛に参加。
  = d 密集隊形(ファランクス) をとるe 重装歩兵 部隊
    が軍隊の主力となる。(右の壺絵を参照)
  → 参政権を主張して貴族と対立するようになる。
  → ポリス民主政への歩み始まる。

補足:

 平民は武具(かぶと、胸当て、楯、長槍など)を自弁して武装し、重装歩兵(ポプリーテス)と言われた。彼らは戦場ではこの絵(当時作られた壺絵に描かれている場面)のように、楯をそろえて数列の横隊を作って密集した。そのような密集部隊をファランクスという。この重装歩兵密集部隊(ポプリーテス=ファランクス)は、それまでの貴族の騎馬による戦闘に替わってポリスに基本戦術となり、武器を自弁するだけの財力のある中間層市民(平民)がそれを担うようになった。その結果、彼らのポリスにおける発言力が強まったと考えられる。
 貴族と平民の身分闘争 
・前7世紀 a ドラコンの立法   最初の成文法制定。 → 鵬による秩序の維持が図られる。
・前6世紀初 b ソロンの改革  アルコンに就任。貴族と平民のc 調停者 として改革に当たる。
 内容 1. 財産政治 :血統にとらわれず、d 平民に、財産の額に応じて参政権を与える。 
    2. 債務奴隷の禁止 :e 債務を帳消しにし、債務を負った市民を奴隷にすることを禁止。 
  ねらい f 平民の没落の防止。  → 貴族と中小農民の双方の不満が残る。
・他に、陪審員を平民から選び役人を裁く民衆裁判を開始。4部族から代表を選ぶ評議員会を設置。
  → 貴族の不満残る。参政権の平等化は実現せず、下層市民の不満も残る。
 僭主政治  Tyranny
・前6世紀半ば a ペイシストラトス :親衛隊を使ってアクロポリスを占拠し、権力を握る。
  → 貧農の救済、公共事業、文化の奨励などによる中小農民の支持を背景に、独裁政治を行う。
  意味 b 大衆的な人気を得て、合法性を装いながら、独裁的な政治を行うこと。 

解説 僭主の末路

 ペイシストラトスの死後、その子ヒッピアスが僭主となったが、無能であるのに権力だけ行使しようとし、ついに決起したアテネ市民たちによって追放されてしまった。ヒッピアスはペルシアに亡命し、アテネに復讐しようとしてダレイオス1世にギリシア遠征を吹き込んだ。それがペルシア戦争の原因の一つだった。
 民主政の成立  Democracy 平民の権利が保障され、平民が合議で市政を運営。
・前508年 a クレイステネス の改革
 内容 1.血縁的な4部族制を地縁的共同体であるb デモス(区)  を基礎とした10部族制に改める。
    2. 僭主の出現の防止のため 、c 陶片追放(オストラキスモス)  の制度を作る。
     = 全部で6000票以上集まったとき、最多得票者を10年間国外に追放する制度。
 意義: デモスを基盤とした、民衆の支配を意味するデモクラシー=民主政 が行われるようになった。

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Text p.33


用語リストへ キ.ペルシア戦争とアテネ民主政
■ポイント どのようにしてペルシア戦争に勝利したか。どのようにして民主政は完成したか。
 イオニアの反乱 
 全オリエントを統一したa アケメネス朝ペルシア の支配が小アジア西岸に及ぶ。
・前500年 b ミレトス を中心に、イオニア地方のギリシア人植民市が反乱を起こす。
  → アテネなどのポリスに援軍を要請。ペルシア軍はギリシア本土に遠征軍を派遣。
 ペルシア戦争 
第1次 前492年 ペルシアのa ダレイオス1世 の遠征軍、海軍が嵐のため遭難して失敗。
第2次 前490年 b マラトンの戦い  アテネのc 重装歩兵密集部隊 が独力で勝利する。
第3次 前480年 d* テルモピュライの戦い  レオニダスの率いるスパルタ軍が全滅。
  → ペルシア軍、アテネを占領。アテネのe テミストクレス は急遽、海軍を拡充。
  → 同年 f サラミスの海戦  フェニキア海軍を中心としたペルシア軍を破る。
  → アテネ海軍のg 三段櫂船 の活躍。
第4次 前479年 h プラタイアの戦い  アテネス・パルタ連合軍が勝利。
 意義:i ポリス連合軍がオリエント専制国家に勝利し、民主政治を完成させた。 
ペリクレス

ペリクレス

 アテネの強大化 
・前478年 a デロス同盟  アテネを盟主として結成。ペルシアの再来襲に備えた軍事同盟。
  = 同盟の金庫がb デロス島 におかれ、アテネが管理。
  → アテネは強大な海軍力を背景に、同盟諸国に対する支配力を強める。※
    国内では軍艦の漕ぎ手となったc 無産市民 の発言権が強まる。
  ※他のポリスに対して強圧的な統制を行い「*アテネ帝国」とも言われた。
 ペリクレス時代 
・前5世紀半ば a ペリクレス の指揮の下で、 b アテネのポリス民主政 の全盛期となる。

解説 ペリクレスの演説

 ペリクレスがペロポネソス戦争開戦1年目の戦死者国葬の際に行った演説は、トゥキディデスの『戦史』に詳しく記録されている。それは、民主政治の神髄を言い当てているとして、古来有名な演説である。
「われらの政体は他国の制度を追従するものではない。ひとの理想を追うのではなく、ひとをしてわが範を習わしめるものである。その名は、少数者の独占を排し多数者の公平を守ることを旨として、民主政治と呼ばれる。わが国においては、個人間に紛争が生ずれば、法律の定めによってすべての人に平等な発言が認められる。だが一個人が才能の秀でていることが世にわかれば、無差別なる平等の理を排し世人の認めるその人の能力に応じて、公けの高い地位を授けられる。またたとえ貧窮に身を起そうとも、ポリスに益をなす力をもつ人ならば、貧しさゆえに道をとざされることはない。われらはあくまでも自由に公けにつくす道をもち、また日々互いに猜疑の眼を恐れることなく自由な生活を享受している。よし隣人が己れの楽しみを求めても、これを怒ったり、あるいは実害なしとはいえ不快を催すような冷視を浴せることはない。私の生活においてわれらは互いに制肘を加えることはしない、だが事公けに関するときは、法を犯す振舞いを深く恥じおそれる。時の政治をあずかる者に従い、法を敬い、とくに、侵された者を救う掟と、万人に廉恥の心を呼びさます不文の掟とを、厚く尊ぶことを忘れない。・・・」
■アテネ民主政のポイント
1.c 民会 を決議機関とし、多数決で採決。
 その構成員=d 市民権を有する18才以上の成年男性が直接参加する。 
 *前451年 市民権法を定め、両親ともアテネ出身者に限定。

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2.役職はe 抽選 で選出し日当を支給。(軍事の最高職のf 将軍 だけは民会の選挙で選出。)
  → 一般市民・下層市民でも官職につくこととなる。
3.抽選された市民が陪審員としてg 民衆裁判所 に加わり投票で判決。日当を支給。
4.役人や政治家に対してはh 弾劾裁判 を実施し、厳しく不正を取り締まる。
■テーマ 古代ギリシアのポリス民主政と、現代の民主政の違いを挙げよ。
1. 奴隷制度を基礎としたこと。 
2. 参政権は成年男性市民に限定されていること。 (奴隷・在留外人・女性には認められず。)
3. 代議制ではなく直接民主政であること。 

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用語リストへ ク.ポリスの変質
■ポイント ポリス民主政はどのような理由で、どのように変容したか。
 ペロポネソス戦争  デロス同盟に反発し、a スパルタ がc ペロポネソス同盟 を結成。
・前431年 両陣営が戦闘突入。 → 前429年 アテネの指導者c ペリクレス 、疫病で死去。
  → アテネの政治は、*d デマゴーゴス によるe 衆愚政治 となる。
  → 戦争長期化し、ギリシア国土が荒廃。*アテネ、シチリア島遠征に失敗。
 前404年 a スパルタ の勝利。f ペルシア帝国 の援助で勝利するも、国力を消耗。衰退する。

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 ポリス民主政の衰退 
・4世紀半ば a テーベ が一時有力となる。アテネは民主性を維持し、勢力を回復。
  → ペルシアの介入により、ポリス間の抗争が続く。
  → b 戦争の長期化により土地を失った市民が没落  → 市民による重装歩兵の維持が出来なくなる。
  → c 傭兵 が主力となる。平等な市民の団結によって守られていたポリス社会が崩壊。
 マケドニア の台頭 ギリシア人であるが本土の北方でポリスをつくらず、王政が続く。都ペラ
・前4世紀後半 a フィリッポス2世 のもとで、軍事力を強める。
 前338年 b カイロネイアの戦い  マケドニア軍がアテネ・テーベの連合軍を破る。
  → スパルタを除くポリスをc コリントス同盟 (ヘラス同盟)に加盟させて支配する。
・マケドニアのギリシア支配。

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用語リストへ ケ.ヘレニズム時代
■ポイント アレクサンドロス大王の大帝国はどのように成立し、その影響はどのように及んだか。
 アレクサンドロス大王  マケドニア王フィリッポス2世の子
・前334年 a 東方遠征 を開始 ギリシア軍を率い、b ペルシア帝国 を討つため遠征。
 前333年 c イッソスの戦い  ペルシア帝国のダレイオス3世に大勝利
  → 前331年 エジプトを平定。ナイル川河口にd アレクサンドリア を建設。
 前331年 シリアに進出し、アルベラの戦い(ガウガメラ)でダレイオス3世軍を破る。
  → 前330年 ダレイオス3世殺されe ペルシア帝国滅亡  。ペルセポリスは焼き討ちされる。
 遠征の背最:ポリス社会の解体に伴い出現した貧民層の不満を、征服戦争で解消させようとした。
 アレクサンドロスの大帝国 
・前330~327年 遠征軍、中央アジアの a ソグディアナ 、b バクトリア に進出。
 前327~325年 さらにc インダス川流域 に進出。
・意義:d ギリシア世界とオリエント世界を統一。  = e 世界帝国 の成立。
  → 各地にギリシア人の植民都市=f アレクサンドリア を建設(約70カ所)。
    帝国内の民族融合政策として、前324年、スサでの集団結婚の実施。

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・前323年 アレクサンドロス大王、バビロンで死去。
  → g ディアドコイ (後継者たち)の争いが激しくなり、大帝国が分裂。
 ヘレニズム三国  の分立
・a アンティゴノス朝マケドニア  前276年 アンティゴノスが建国。都ペラ。
・b セレウコス朝シリア  セレウコス1世が建国。シリアを中心にペルシア帝国領を継承。
 → 前3世紀 c ペルガモン 、 d バクトリア 、h パルティア が分離独立。
・f プトレマイオス朝エジプト  エジプトの伝統を取り入れ、ファラオとして君臨。
  都 j アレクサンドリア は、ヘレニズム世界の中心として繁栄する。
※前30年のプトレマイオス朝エジプトの滅亡までの300年間をk ヘレニズム時代 という。
  = いずれもギリシア(マケドニア)人が支配する国家で、ヘレニズム三国といわれる。
■地図で確認 アレクサンドロスの大帝国  線―→ はアレクサンドロスの遠征ルート
アレクサンドロスの帝国

 ペラ    b イッソス    c アレクサンドリア    d アルベラ 
 バビロン    f スサ    g ペルセポリス 

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用語リストへ コ.ギリシアの生活と文化
■ポイント ギリシア文化のまとめ
特色 a 明るく合理的で人間中心的な文化。  → b ルネッサンス  以降のヨーロッパ近代文明の模範。
基盤 c 市民が対等に議論するポリスの精神風土。  =d アゴラ やe 民会 での議論で育まれる。
 → ギリシア・ローマの時代は、近代ヨーロッパ人によりf 「古典古代」 と呼ばれている。
1.宗教 ゼウスを中心とするa オリンポス12神 ※を信仰する多神教。
   ギリシアの神々は人間と同じ姿と喜怒哀楽の感情をもつ、と考えられた。その宗教も現世肯定的であった。
 ※参考 オリンポス12神
 ゼウス(主神) ヘラ(ゼウスの妻) ポセイドン(海と大地の神) アレス(軍神) アポロン(太陽神)
 ヘファイストス(火の神) ヘルメス(商業の神) アテナ(知恵の女神) アルテミス(月の神)
 アフロディテ(美の女神) ヘスティア(かまどの女神) デメテル(農業の女神)

Text p.37

2.文学  神々と人間の関わりをうたった叙事詩が盛んになる。
・a ホメロス(ホーマー)   口承叙事詩の伝統を受け継いだ盲目の吟唱詩人。
   『b イリアス 』とc『 オデュッセイア 』 トロヤ戦争での英雄たちの物語。
 d ヘシオドス  『e 労働と日々 』で労働の楽しさを唱う。『神統記』は神々の系譜。
3.演劇 古典期(前5世紀)のアテネで演劇が栄える。
・a 悲劇  三大悲劇詩人が活躍。神々と人間の葛藤などを題材に、優れた作品を生み出した。
   b アイスキュロス  『アガメムノン』『縛られたプロメテウス』など、神話に題材を採る。
   c ソフォクレス  『オイディプス王』など、人間の葛藤を描き、悲劇を完成させた。
   d エウリピデス  『メディア』など 、人間の運命との葛藤を描いた。
・e 喜劇  ポリスの衰退期・混乱期に、世相を風刺する作品が人気を博した。
   f アリストファネス  『女の平和』(ペロポネソス戦争を批判)、『女の議会』など。

補足: ギリシアの演劇

 民主政治の全盛期のアテネではさかんに演劇が上演された。毎年3月のディオニュッソス祭(大ディオニュシア祭、酒神ディオニュッソスの祭)の時に、まず三日間、三人の作者が各一日を受け持ち、3つの悲劇と一つの滑稽劇を競演し、残りの1日で一人1作の喜劇が五本競演され、優秀作が決められた。劇場は野外の円形劇場で仮面をつけ、合唱隊(コロス)がついた。有力市民は合唱隊の費用を公共奉仕することが名誉とされ、また一般市民には観劇手当(テオリコン)が支給された。
■テーマ ギリシア哲学の流れ
 イオニア自然哲学  前6世紀はじめ、小アジア西岸で成立。
 ミレトスを中心に物事の根源を合理的に考察する人々が現れる。( )内はその主張。
  a タレース (万物の根元は水である)   b ピタゴラス (万物の根元は数である)

補足:

 イオニア自然哲学には、他に「万物は流転する」と説いたヘラクレイトス、原子(アトム)の存在を見通したデモクリトスなどがいる。また、医学では「医学の父」と言われるヒポクラテスが活躍していた。
 ソフィスト たち 市民に弁論術を教える職業的教師たち。「知恵ある者」の意味。
 代表的人物 a プロタゴラス  ”人間は万物の尺度である”と説く。
 ソクラテス  前5世紀後半 アテネで活動。ソフィストに対し、絶対的真理の存在と知徳一致、
アテネの学堂

左の天を指さしているのがプラトン、右の地を指しているのがアリストテレス。ルネサンス期のファラエルの「アテネの学堂」の一部。

 ”a 無知の知  ”を説く。若者を惑わすものとして裁判にかけられ、刑死。
 プラトン  前4世紀前半 『ソクラテスの弁明』など著作多数。
 経験的事物を越えたa* イデア の存在を説く。
  ポリスの民主政の再建をめざし『国家論』を著す。
   → アテネに学園b* アカデメイア を建設。
 アリストテレス  前4世紀後半 アカデメイアで学ぶ。
  『形而上学』 『政治学』『アテナイ人の国制』など著作多数。
   → 実証的な諸科学を研究、体系化して後世の学問に多大の影響を与え、
     ”諸学の父”といわれる。
   → アテネに学園*リュケイオンを創設。マケドニアに招かれ、
     a アレクサンドロス の師となる。

補足: アテネの学堂

 上の絵は、ルネサンス期のラファエロがローマのヴァチカン宮殿署名の間に描いた壁画『アテネの学堂』の一部。その中央に描かれている、左がプラトン、右がアリストテレスである。ラファエロは同時代の画家をその中に描き込んでおり、プラトンはレオナルド=ダ=ヴィンチ、アリストテレスはミケランジェロをモデルにしたという。この絵では、二人の手の位置の違いに注目する。プラトンは天上を指さしているが、それは真理は天上のイデア界にあるという彼のイデア論を示しており、アリストテレスが手を下に向けて大地を指しているのは、真理は現実の中にあるというその思想を現している。この図に見られるように子弟間の哲学には大きな違いがあった。
・ビザンツ文化、イスラーム文化を経て、中世ヨーロッパの思想に大きな影響を与える。

Text p.38

5.歴史家
 ・a ヘロドトス  前5世紀前半 b ペルシア戦争 の歴史を描く『歴史』を著す。
 ・c トゥキディデス  前5世紀後半 d ペロポネソス戦争 『歴史』(『戦史』)に記述。
6.美術  写実的で均整のとれた美術が生まれる。ヘレニズムを経てローマ文化に継承される。
  建築 柱の形式で次の3様式に分ける。
 ドーリア式 :荘厳。 ドーリア式

 パルテノン神殿 

 イオニア式 :優美。 イオニア式

エレクティオン神殿

 コリント式 :華麗。 コリント式

アテネのゼウス神殿


 ・アテネのd パルテノン神殿  ペリクレスが企画。e フェイディアス が監督。
  → ドーリア式の傑作。

Text p.39

■テーマ ヘレニズム文化
1.a ヘレニズム とは
  b アレクサンドロスの帝国の成立によって生まれたギリシア文化とオリエント文化の融合した文化 
  意義: ギリシア人(ヘレネス)の都市国家(ポリス)風の文化が西アジアとその周辺に広がった。
   →  共通語としてギリシア語から生まれたc コイネー が広く使われる。
サモトラケのニケ
2.思想:a コスモポリタニズム(世界市民主義) の形成
  意味:ポリスが衰退したことによりポリスの枠にとらわれない、個人の生き方が問われるようになった。
  ・b ストア派 :アテネでゼノンが説き始める。 ストアとはアテネのアゴラに面した柱廊のこと。
    禁欲に徹することによって心の平安を得られるとする禁欲主義。 → ローマ時代に発展。
  ・c エピクロス派 :アテネのエピクロスが説く。
    快楽が最高の幸福であるとし、精神的快楽を肯定する快楽主義。
3.美術:a ミロのヴィーナス  ・b ラオコーン ・c* サモトラケのニケ (右図)、
    ペルガモンの大祭壇など
・d ヘレニズムは西アジア一帯からインド(ガンダーラ美術)を経て、中国・日本にまで及ぶ。 
4.自然科学:
 数学 a エウクレイデス(ユークリッド)  平面幾何学を完成。
    b アルキメデス  アルキメデスの原理。シラクサの人。ポエニ戦争で戦死。
 天文学 c エラトステネス  地球の外周を測定した。
     d アリスタルコス  太陽中心説 地球の公転と自転を実証。
 医学 解剖学の基礎ができる。

Text p.40

・中心地 プトレマイオス朝の都e アレキサンドリア  が栄える。
  → 人口100万 「世界の結び目」といわれる。
  f ムセイオン :プトレマイオス朝の王立研究所。大図書館が併設され、世界各地の図書が集められた。

補足:

 ムセイオンは学問の神ミューズからつけられた名称で、後の英語の museum の語源である。プトレマイオス朝の都アレクサンドリアに建設された王立研究所(もしくは学術センター)で、大図書館を併設していた。エウクレイデスやアルキメデスら、ヘレニズム時代の多くの自然科学者や文献学者がムセイオンで研究した。エラトステネスはこの図書館の館長であった。前48年、ローマのカエサルがポンペイウスを追ってエジプトに遠征したときの戦火によって大図書館は炎上してしまった。ムセイオンそのものはその後も存続し、最終的には7世紀にイスラーム勢力がエジプトを征服したときに破壊されたと言われている。
 ・ヘレニズムの自然科学・医学 → g イスラーム の文化に継承される。

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