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ローマ字

ローマ人がラテン語を表記するため、ギリシアのアルファベットをもとに作った文字

ローマ字は、ローマ人が西部ギリシア語のアルファベットを中部イタリアの住民を介して間接に受け取って、自分たちの言葉であるラテン語を表記するために使用するようになった。現在のローマ字アルファベットは26文字であるが、その字数には変遷がある。紀元前1世紀ごろには、
  ABCDEFGHIKLMNOPQRSTVX
の21文字からなり、小文字はまだ充分発達していなかった。アウグスティヌス帝の時代にギリシア系の外来語を書くために、YとZがギリシア語から輸入されたが、それ以前はYはV,ZはSで代用されていた。CはもともとKの発音とGの発音の両方をあらわしていたが、前世紀ごろCの濁音をあらわすためにGが使われるようになった。またCの字はKの字を次第に駆逐したのでラテン語ではKのつく語は少なくなった。わずかな例外が毎月の一日をあらわす Kalendae で、これがカレンダーの語源となった。またローマ人はIは母音のイの発音以外に子音(英語のYの発音)もあらわし、V(=U)も子音の英語のWの発音をしていた。中世以降になって、Iの子音をあらわすのにその先を曲げてJが、Vの子音をあらわすのに横にダブってWと書くようになった。VとUは同じ文字であったため、英語ではVをダブらせたWのことをダブルU(ダブリュー)と呼び、フランスではダブルV(ドゥヴルヴェ)と呼ぶのである。ローマ時代にはJやUは使われていなかったから、ユリウスは現在の綴りでは Julius であるが、古代には IVLIVS と書かれた。<『教養人の世界史』上 教養文庫 吉村忠典執筆 1964 社会思想社>
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