現代の思想
20世紀の主な思想には、新たな潮流として、実存主義、精神分析学、構造主義などがある。
19世紀までの思想が追求してきたテーマは、キリスト教思想の「神」、西欧哲学の「観念」、マルクス主義の「国家」、近代経済学の「資本と労働」、自然科学での「ニュートン力学」などであった。しかし、これらの人間の思想が生み出したもの、あるいは帰結は、20世紀の二度にわたる世界大戦の悲惨な現実であった。
そのような危機の時代となった20世紀の中から生まれた新しい思想には、それまで人々の視点が及ばなかった次のような新たなテーマが見いだされている。それは、実存主義哲学の「個人、主体」、精神分析学が見出した「無意識」であり、構造主義 (レヴィ=ストロース)の見出した「未開」などであった。また、アジア・アフリカ・ラテンアメリカにおける民族主義の勃興は、西欧思想にもインパクトを与えた。これらの新しい知見は、豊かな文化を生み出したが、一方でさらに混沌の度合いを増しているとも言える。この20世紀も終わり、21世紀に突入した現代は、大量消費と過剰な情報の氾濫、グローバル化の中での「個人」の喪失、資本主義と社会主義という対立軸の崩壊に伴う政治的混乱、さらにかえって先鋭になった民族的・宗教的不協和音が響き合う困難な時代となっている。
そのような危機の時代となった20世紀の中から生まれた新しい思想には、それまで人々の視点が及ばなかった次のような新たなテーマが見いだされている。それは、実存主義哲学の「個人、主体」、精神分析学が見出した「無意識」であり、