印刷 |  通常画面に戻る |

第17章 現代の世界

3 第3世界の多元化と地域紛争

Text p.367

ア.第三世界の分化
 南北問題  意味=a 1960年代の発展途上国と先進工業国の格差の拡大 
・南半球のb 発展途上国 、北半球の先進工業国への工業原材料・農産物供給国にとどまる。
  → 1960年代、経済格差が広がる。
・c 関税と貿易に関する一般協定(GATT) 体制に対する発展途上国側の反発強まる。
 1961年 d 経済協力開発機構(OECD) 発足。
  → 経済の安定成長・途上国への援助・貿易拡大をはかる。
 1964年 発展途上国、e 国連貿易開発会議(UNCTAD) を設立(71ヶ国)して対抗。
  → 南北間の経済問題を協議しているが成果上がらず。
 南南問題  意味=a 1970年代の発展途上国内での高所得国の出現に伴う格差の拡大 

Text p.368

・1973年 第4次中東戦争(後出)→ b オイル=ショック → 原油の高騰 →
  c 産油国 の中に高所得国が生まれる。サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦など。
  →  資源ナショナリズム の高まり。
  → 途上国グループ、1974年  新国際経済秩序(NIEO) を提唱。
・1970年代 d 新興工業経済地域(NIEs) の形成
      加工業、中継貿易の育成に成功し、中所得国に成長。
  =特にe 韓国 ・f 台湾 ・g 香港 ・h シンガポール が「四小竜」と言われる。
  → 80年代を通し、低賃金労働と通貨安・原油安・金利安の「3低現象」で発展つづける。
    他にブラジルやi ASEAN(東南アジア諸国連合)  加盟国も経済成長開始
    (マレーシア、タイ、インドネシア、など)
  → 90年代、一部の工業国は対外債務の膨張で低迷。産油国は原油価格低迷で勢い失う。
・低所得国:中米諸国、アフリカ諸国などに、内戦や食糧危機による難民が発生している。
  背景=j 人口爆発・人口の都市集中・宗教、民族対立による内戦・自然災害・農業不振など。 
第三世界の多様化。冷戦終結後の地域紛争の多発。→ 国連での解決、調停への期待とその限界。
先頭へ
イ.アラブ世界の分裂とその影響
1.アラブ諸国とイスラエルの対立
 ・1960年代  アラブとイスラエルの対立激化
 第3次中東戦争  (1967年)
・1964年 パレスチナ難民、a パレスチナ解放機構(PLO) を設立。
  同  年 エジプトb ナセル 大統領、スエズ運河地帯の国連軍の撤退を要求。アカバ湾を封鎖。
・1967年6月 c イスラエル 軍がエジプト・シリアを奇襲。▲d 六日戦争 ともいう。
  → e シナイ半島 ・f ゴラン高原 ・▲g ヨルダン川西岸 ・▲h ガザ地区 占領。
   影響:エジプトの指導力失墜。パレスチナ難民の発生。PLO、拠点をヨルダンに移す。
 1968年 PLO、c イスラエル に対するゲリラ活動を展開。
  → 1969年、i アラファト PLO議長となる。
 1970年9月 ▲j ヨルダン内戦   ヨルダン がPLOを弾圧。→ PLO、レバノンに移る。
    同  年9月 エジプトのb ナセル 大統領死去。k サダト 大統領となる。
▲1970年代初頭のアラブ世界の動き
 1971年 エジプト、憲法を改正し国号を エジプト=アラブ共和国 に変更。
 1972年  ミュンヘン=オリンピック襲撃事件 など、PLOによるテロ事件相次ぐ。
 その他、1970年  南イエメン (67年、イギリスから独立)で社会主義政権成立。
     1971年 アブダビ、ドバイなどイギリス保護領が アラブ首長国連邦 として独立。
 第4次中東戦争  (アラブ側はラマダン戦争、イスラエル側はヨム=キップール戦争という。)
・1973年10月 a エジプト=アラブ共和国 (b サダト 大統領)シナイ半島に進撃、
   同時にc シリア (▲d アサド 大統領)はゴラン高原に進撃。イスラエル守勢に回る。
  → イスラエル軍の最初の敗北とされる。その後イスラエル軍が反撃し約10日間で停戦。
・アラブ側の石油戦略
  → イスラエル支援の諸国に対しe アラブ石油輸出国機構(OAPEC) 
    (サウジアラビアなど)が原油輸出停止または制限。
    ついでf 石油輸出国機構(OPEC) も原油価格の大幅引き上げを決定。
  → これにより、先進国・原油輸入国は大きな影響を受けg 第1次オイル・ショック 起きる。
・1974年 国連、PLOを唯一のパレスチナ人の代表と認め、パレスチナ人の民族自決権を確認。
・1975年~ ▲h レバノン内戦   レバノン でキリスト教 マロン派 とPLOが衝突。
  → 宗教各派の抗争に▲i シリア  アサド 大統領)が介入。内戦状態、15年続き90年に停戦。
 エジプト=イスラエルの和平 
・1977年 エジプトのa サダト 大統領、イスラエルを訪問。議会で和平提案演説。
・1978年 a サダト 大統領とイスラエルのb ベギン 首相( リクード 党首)、
      ▲アメリカのc カーター 大統領の仲介でd キャンプ=デーヴィット合意 
   ※合意内容:エジプトがイスラエルを承認。イスラエルは、e シナイ半島 の返還、
         ガザ地区とヨルダン川西岸の行政自治権を認める。
 1979年 f エジプト=イスラエル平和条約 締結。
   → パレスチナ人は反発。アラブ世界でエジプトが孤立、アラブ連盟から除名される。
・1981年 g サダト大統領暗殺 される。h ムバラク 大統領、和平政策を継続。
 1982年 イスラエル、e シナイ半島 をエジプトに返還。
 パレスチナ問題 の深刻化 エジプト=イスラエル和平をよそにパレスチナの戦い続く。。
・1979年 中東情勢の激変:a イラン革命 (後出)・ソ連のb アフガニスタン 侵攻(前出)など。
 1982年 イスラエル軍の▲c レバノン侵攻 。ベイルートを猛爆。PLO、チュニジアに脱出。
  → PLO、武装闘争路線を後退させ、穏健化。 →パレスチナ内部の対立始まる。
 パレスチナ問題の転換  イスラエル、占領地の併合に動く →パレスチナ側の抵抗強まる。
・1987年 イスラエル占領地域のパレスチナ人が▲a インティファーダ (民衆蜂起)起こす。
 1988年 PLO、▲b パレスチナ国家樹立宣言 。アラファト議長、国連でイスラエル承認演説。
・1991年 c 湾岸戦争 起こる。PLOはイラクを支持。フセインは「リンケージ」を図るも失敗。
  → 戦後、アメリカ主導で▲d 中東和平会議 (マドリード)始まる。PLO代表参加拒否される。
 パレスチナ暫定自治協定  ノルウェーの仲介でa オスロ合意 が成立。それをうけて、
・1993年 b クリントン 米大統領を介し、イスラエルのc ラビン 首相と
   PLOd アラファト 議長が会談し調印。
  → 相互承認とe パレスチナ暫定自治行政府 の樹立を認める。
 1995年 イスラエルのc ラビン 首相暗殺される。 中東和平構想崩れる。
 参考  最近のパレスチナ情勢の混迷
・2000年 イスラエルの右派、イェルサレムの「神殿の丘」に入る。
  → パレスチナ民衆、a 第2次インティファーダ 展開。イスラーム原理主義ハマスが台頭。
 2001年 イスラエルのb シャロン 首相(右派リクード党首)、対パレスチナ強攻策に転じる。
・ 同  年9月 9.11同時多発テロ起こる。 → アメリカ軍、アフガニスタン侵攻。
 2003年 アメリカのブッシュ大統領(子)、中東和平の ロードマップ 提唱。
   2004年11月 PLO c アラファト 議長死去。アッバス議長に代わる。
 2005年8月 イスラエル、d ガザ地区 の入植地から撤退。
 2006年 パレスチナ自治政府に強硬派のe ハマス 政権誕生。パレスチナが分裂、対立。
 2007年 ハマスがガザ地区を武力制圧。イスラエルに対するロケット弾攻撃をしかける。
 2008年12月 イスラエルがガザ地区ハマス政権を攻撃。 
現在もパレスチナ側の自爆テロ、イスラエルの軍事報復など、武力衝突が相次いでいる。

Text p.369

2.イラン・イラクと現在の中東情勢
 1979年、エジプトがイスラエルと和平 →エジプト、アラブ世界で孤立し、イランとイラクが台頭
 イラン革命  国王a パフレヴィー2世 の近代化路線に対する民衆の反発強まる。
・1979年1月 暴動激化し国王亡命。軍・労働者農民・b シーア派 の三派が主導権を争う。
  2月 b シーア派 の宗教指導者、c ホメイニ が帰国。混乱を収束させる。
  3月 d イラン=イスラム共和国 が成立。
   → e イスラーム原理主義 に立つ改革を断行。反米路線を明確化。
  11月  アメリカ大使館人質事件  米の内政干渉の停止、前国王資産の引渡など要求。
   → 翌年8月、救出作戦に失敗。釈放、81年1月までずれ込む。
 影響:イラン産原油の輸出減少 → f 第2次石油危機 
    アラブ世界でのe イスラーム原理主義 の運動強まり、テロ事件各地で起こり始める。
  この年、ソ連のg アフガニスタン侵攻 (前出)
ホメイニ

 ホメイニ  

 イラク共和国  の変化 1958年 イラク革命で王政倒れ共和国成立。
・1968年 a バース党 政権が成立。アラブの統一と民族社会主義を主張。
 1979年 党を掌握したb サダム=フセイン 大統領となり、独裁権力を握る。
 イラン=イラク戦争   1980~1988年
・1980年 イラク(a サダム=フセイン 大統領)がイランに侵攻。
  → b イラン革命 に乗じて、領土拡張(産油地獲得)をねらう。
  →  ▲c ソ連 ・d アメリカ などがイラクに武器を援助。戦争泥沼化。
 1988年 国連安保理の停戦決議で停戦。
 湾岸戦争 
サダム=フセイン

 サダム=フセイン  

・1990年8月 イラク(a サダム=フセイン 大統領)、突如b クウェートに侵攻 。領有を宣言。
  → アメリカ大統領c ブッシュ(父) 、イラクを非難。
・1991年1月 国際連合の決議によりアメリカ軍を中心としたd 多国籍軍 がイラク攻撃。
  → イラク、クウェートより撤退。国連監視下に置かれる。フセイン政権は存続。
 イスラーム原理主義  の台頭  その理念をもとにした イスラーム復興運動 が強まる。
・1989年 ソ連軍のアフガニスタン撤退 →a アフガニスタン内戦  激化。
  → 1996年 b ターリバーン 政権成立。極端なイスラーム原理主義化を進める。
・イスラーム過激派の系譜
 エジプト  ムスリム同胞団 (81年 c サダト大統領 暗殺) 97年 ルクソール事件など
 1996年頃 テロ組織b アルカーイダ 結成。湾岸戦争での米軍のサウジアラビア進駐に反発。
・その他 パレスチナのハマス、レバノンのヒズボラなど過激派がイスラーム圏で勢力を伸ばす。
 同時多発テロ  
・a 2001年9月11日  ニューヨークの貿易センタービルなどへのテロ攻撃。
  → アメリカはイスラーム過激派b アルカイーダ の犯行と断定。

Text p.370

・2001年10月 アメリカの報復 c アフガニスタン攻撃  国連決議を受け空爆。上軍も投入。
  → d ターリバーン 政権倒れる。 → e アフガニスタン は民族対立続き、混乱も続く。
 2002年1月 アメリカ大統領ブッシュ、イラン・イラク・北朝鮮を「悪の枢軸」と非難。
 イラク戦争  (第2次湾岸戦争) アメリカ、イラクの大量破壊兵器保有を疑う。
・2003年3月19日 アメリカのa ブッシュ(子) 大統領 侵攻開始。先制攻撃論による。
      4月 アメリカ・イギリス軍 バグダード制圧。12月 b サダム=フセイン 大統領を拘束。
      7月 日本、イラク復興支援特別措置法成立。12月 サマワにc 自衛隊派遣 
 2005年2月 イラクで選挙実施、自治政府発足。 → 政情不安続いている。
現在
 2005年6月 イラン反米強硬派アフマディネジャド大統領就任。核開発疑惑強まる。
 2005年7月  ロンドン地下鉄テロ 起きる。イラク派兵に反対するテロ活動が各地で起こっている。
・イラクでは、スンナ派・シーア派の宗教対立、クルド人との民族対立などから混乱続く。
先頭へ
ウ.第三世界における強権支配の後退
・第三世界の80年代以降:開発独裁や軍事独裁政権、あるいは長期政権が姿を消し、民主化が進む。
1.アジアの動向
 韓国   輸出工業の育成につとめNIEsの一つとなるも、独裁政治への批判強まる。
・民主化闘争の激化
 1979年 a 朴正煕 大統領 暗殺される。(政権内部の権力闘争)
 1980年 b 光州事件  民主化を要求する学生・市民が市政を掌握。
     →政府は戒厳令を発布。軍部によって弾圧される。軍のc 全斗煥 大統領就任。
・民主化の進展
 1988年 d 盧泰愚 大統領選挙で当選。軍部出身。韓国で初めて平和的政権交代。
  → 90年 ソ連と国交回復、91年 北朝鮮と同時にe 国際連合加盟 を実現、
    92年 中国と国交回復。
 1992年 非軍人大統領f 金泳三  光州事件の責任者として前大統領を処罰。
・北朝鮮との対話始まる。
 1997年 g 金大中 大統領となり、民主化推進。▲h 太陽政策 をかかげる。
 2000年6月 g 金大中 大統領、北朝鮮を訪問、i 金正日 総書記と会談(前出)。
 2003年  盧武鉉 大統領就任。北朝鮮との対話路線を継続。日本の靖国問題などに反発。
・2008年 経済不振を受け、新大統領に李明博が就任。北朝鮮関係の見直し。
 台湾  (中華民国)a 国民党 の一党支配の下、経済発展しNIEsの一員となる。
 1979年 米中国交正常化に伴い、台湾はアメリカと断交。(国連脱退は71年)
・民主化の開始
 1987年 戒厳令を解除。 88年 国民党b 李登輝 総統に選出され、民主化を推進。
 2000年 民主進歩党のc 陳水扁 が総統に当選。
  → 台湾独立路線、台湾の国連加盟を主張。中国政府との緊張。
 2008年 国民党、政権奪回。馬九英総統。
 フィリピン  1965年以来 a マルコス 大統領の開発独裁による腐敗進む。
 1983年  ベニグノ=アキノ暗殺事件  → 独裁政治に対する批判強まる。
・1986年  ピープルパワー革命 起こる。b コラソン=アキノ 大統領に当選、
        マルコスが戒厳令を敷いたことに民衆が反発し、マルコス夫妻アメリカに亡命。
  → アキノ政権(~92年)、フィリピンの民主化を進める。アメリカ軍の基地、撤退。
  → その後、 ラモス 政権、 エストラダ 政権が続き、現在は アロヨ 大統領。

Text p.371

 インドネシア   1968年からa スハルト 大統領一族の利権独占が続く。
・1997年 b アジア通貨危機 が起こる。
・1998年 不正に批判強まり、a スハルト 大統領退陣。
 2001年 メガワティ(スカルノの娘)大統領就任。
  ・一方で、東ティモールとアチェの独立運動起こる。
 2002年 東ティモール独立承認。現在も問題続く。2004年大統領選でユドヨノが当選。
 インド 
・インドの変化 1964年 インド、ネルー死去。その後も国民会議派政権続く。
 1965年 a カシミール の領有を巡り、第2次b インド・パキスタン戦争 起こる。
   71年 東パキスタンの難民をめぐり、第3次b インド・パキスタン戦争 起こる。
    → 東パキスタン、c バングラデシュ人民共和国 (ベンガル共和国)として独立。
 1974年 インド、NPTに反発して、d 核実験 を実施(平和利用目的を理由とする)。
・政情不安と経済発展
 1980年 e インディラ=ガンディー 首相(国民会議派)
  → 次第に反対派弾圧に転じ、 シク教徒 らを弾圧。→ 84年 シク教徒に暗殺される。
 1991年 後継者f ラジブ=ガンディー もタミル人に暗殺される。
  → ヒンドゥー至上主義を掲げるb インド人民党 が台頭。パキスタンとの対立関係強まる。
  → IT産業を中心とした経済発展路線に転換。→ 2000年代、急速に経済成長。
 1998年 総選挙で国民会議派敗れ、b インド人民党 が政権を握る。首相ヴァージペーイー。
 インド・パキスタンの両国 d 核実験 を強行。パキスタンが核保有国となる。
  → 中国=インド関係の修復進む。 2003年 インド、チベットを中国領と見なす。
 パキスタン 
・1990年、96年の2度にわたり、a ベナジル=ブット 首相、汚職の嫌疑で解任される。
  → 近代化政策に反発するイスラーム原理主義の台頭。
・1999年 軍部クーデターによってb ムシャラフ 政権成立。民政移行後も軍の政治関与続く。
 2001年 アメリカのアフガニスタン攻撃に協力。国内の原理主義勢力を弾圧。反発も強まる。
・2007年 a ベナジル=ブット 元首相、暗殺される。反政府活動激しくなり不安定続く。
 ネパール 
・1990年 民主化運動起こり、ヒンドゥー教を奉じる国王親政から、立憲政治に転換。
  → 1996年ごろから、マオイスト(毛沢東主義者)の反政府軍事行動が活発化。
 2005年 国王、親政体制への復帰を表明、政党活動を抑圧。再び民主化運動強まる。
 2006年 政府軍(国王派)と政党・マオイストの内戦となる。国連の監視で停戦実現。
 2008年5月 王政廃止され共和国となる。毛派を含む連立政権成立。
▲F.その他
・a スリランカ  1972年 イギリスの自治領から共和国となり、国名変更。
   タミル人問題  多数派の シンハラ人 (仏教徒)と、少数派の タミル人 (イスラーム教徒)の対立。
・b ビルマ  1988年 民主化運動が起こりネ=ウィン政権倒れるが9月に軍事政権が復活
  → 89年 国名をc ミャンマー に変更。d アウンサンスーチー ら民主化運動を弾圧。
  2007年 僧侶らによる反政府暴動起きる。軍政に対する国際的非難強まる。
・e シンガポール  f リー=クアンユー  1965年から首相 経済成長続き、NIEsに発展。
・g マレーシア  h マハティール  1981年から首相 日本にならうルックイースト政策。
・i タイ  1963~73年 軍事政権(タノム首相)のもとで、72年に日貨排斥運動が起こる。
  1976年 学生の民主化要求デモ 軍隊に鎮圧され、その後も 軍事クーデター が続き混乱。
    → 80~90年代 工業化進む → 1997年j アジア通貨危機 の発端となる。
  2001年  タクシン 首相就任。 →2006年  軍事クーデター で首相辞任。フミポン国王が承認。
・j ブルネイ の独立 1984年 ブルネイ=ダルサラーム国としてイギリスから独立。産油国。
2.ラテンアメリカの動向
・60~70年代前半の軍事政権が、1975年ごろから民政移管し、民主化が進む。
 → ラテンアメリカの独裁政権に対してカトリック信仰に基づく▲a 解放の神学 が力になる。 
 チリ  
・1970年 a アジェンデ 大統領に当選、▲b チリ人民連合政権 が成立。
  = 社会党、共産党などの連合政権。銅資源の国産化、土地改革など社会主義政策を進める。
・1973年9月 c チリ軍部クーデタ 、アメリカの支援するd ピノチェト 独裁政権成立。
  → ▲e 新自由主義 経済政策を推進、市場原理を優先し経済再建するが格差拡大。
 1988年 d ピノチェト 政権 国民投票で信任されず退陣。
  → 90年  民政移管 され、エイルウィン大統領の中道左派連合政権が成立。
    98年 d ピノチェト 逮捕される。 → 現在裁判継続中。
 アルゼンチン  
・1973年 ▲a ペロン 大統領に復帰。74年死去し、妻イザベルが継承。
・1976年 軍部クーデタ、イザベル=ペロンを追放、反左翼・親米派軍事政権成立。
   82年 軍事政権、イギリス領のb フォークランド諸島 (マルビナス紛争)を占領。
       → b フォークランド戦争 となり、イギリス軍と戦い敗れる。
・1983年 軍政反対のゼネストが起き、民政に復帰。
 ニカラグア   1947年以来、一族支配をつづけるa ソモサ 大統領の独裁政権に対し、
・1961年 左翼ゲリラ組織 ▲b サンディニスタ民族解放戦線 が武装闘争を開始。
・1979年 c ニカラグア革命  ソモサ大統領を追放し政権獲得。
   → アメリカ(レーガン政権)、反革命勢力(コントラ)を支援、内戦が激化する。
   90年 親米派チャモロ女史大統領当選。左翼政権倒れ、中道政権が成立。
▲D.その他のラテン=アメリカ諸国
エクアドル  1972年からの軍政、78年に国民投票で民政移管。中南米民主化の先駆となる。
パナマ  1977年 米 カーター大統領 a 新パナマ運河条約 →23年後返還を約束。
     1989年 反米的なノリエガ政権に対し、ブッシュ(父)大統領の米軍b パナマ侵攻 
   → 1999年 運河返還される。
・グレナダ 1979年 左翼政権成立 83年 レーガン大統領の米軍c グレナダ侵攻 
・d エルサルバドル  1979年 軍事政権崩壊し、内戦となり、国連が仲介、92年に停戦合意。
・e ペルー  1990年 フジモリ大統領(日系) 左翼勢力を弾圧。腐敗批判され日本に亡命。
・f メキシコ  1946年以来、 制度的革命党 (PRI)の長期政権 → 累積債務で経済危機に陥る。
    1994年 NAFTA結成に抗議した農民組織  サパティスタ民族解放戦線 が挙兵。
  → 1994年 g メキシコ経済危機  → 2000年 総選挙で政権交代、民主化進む。 
▲E.中南米和平と経済協力の進展
・1967年 a トラテロルコ条約 =中南米非核地帯条約 中南米32ヶ国が非核地帯を宣言。
・1983年 メキシコ・コロンビア・パナマ・ベネズエラの4国(b コンタドーラ=グループ )、
       対米関係を重視し、中米の紛争解決にあたる。
  →86年 ペルー・ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイが加わり、カラバジェダ宣言発表。
       = ラテン=アメリカ諸国の民族自決、紛争自主解決などを声明。
・1987年 中南米8ヶ国首脳会議 カラバジェダ宣言加盟国首脳、アカプルコ合意を発表。
       = 中南米の和平、対外債務の上限設定、IMFの貸出条件緩和などを提唱。
・1991年 グアダラハラ宣言 中南米20ヶ国会議。中南米紛争の平和的解決、経済発展での協力。
・ 同  年 c 南米南部共同市場(MERCOSUR) :アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、
       ウルグアイの4ヶ国、域内経済統合で合意し発足。06年、ベネズエラ加盟。
・1993年  中米自由貿易圏 :中米5ヶ国(グァテマラ、ホンジェラスなど)の域内経済統合を目指す。
  → 92年にアメリカ中心で結成されたd 北米自由貿易協定(NAFTA) に対抗。
3.アフリカ
 ジンバブエ   旧名a ローデシア 
・1965年 a ローデシア の白人政府(スミス政権)が一方的にイギリス連邦から独立を宣言。
       白人支配を続け、黒人差別政策を強める。→ 黒人による解放運動、武装抵抗が続く。
 1980年 黒人主体の国家となり、国号を変更。初代首相 ムガベ 、長期政権を続ける。
 南アフリカ共和国   イギリス連邦内の自治領 南アフリカ連邦(1910年から) 白人支配続く。
・1961年 イギリス連邦から独立。白人政府がa アパルトヘイト  政策を導入。
      =少数白人の優位を守るため、非白人の公民権の制限、居住区の制限などの差別的分離政策。
  → b アフリカ民族会議 (ANC)の抗議運動展開される。
 1976年 ソエェト地区で黒人暴動。→ 国連による南アフリカ制裁が強まり、国際的に孤立。
  → 白人政府、モザンビークに介入。さらに信託統治領 ナミビア を領土化し、アンゴラ内戦に介入。
・1980年代 a アパルトヘイト 政策の見直し始まる。白人のc デクラーク 大統領が推進。
   91年 d アパルトヘイト諸法撤廃  人口登録法、集団地域法、先住民土地法のなどを撤廃。
   94年 平等選挙権を認め、大統領選挙実施、ANCの黒人d マンデラ が大統領が当選。
C.その他
・1967年 a ナイジェリア の部族対立から、b ビアフラ戦争 起こる。
・1969年 c リビア でd カダフィー大佐 の指導する革命が成功。
  → 石油資源を背景とした民族主義と「大衆による民主主義」を掲げるが独裁政権が続く。
  → 99年 リビア強硬路線を転換 03年核兵器を廃棄、06年 アメリカ、テロ指定国家解除。
・e アルジェリア  民族解放戦線(FLN)の一党独裁に対しイスラーム救国戦線(FIS)が反発。
  → 1991年 総選挙でFISが勝つが、FLN軍によって押さえれれ、非合法化され内戦状態に。
・f ナミビア  1990年独立 60年代、西南アフリカ人民機構(SWAPO)の独立運動が続く。
・g エチオピア  1991年 エリトリア解放戦線の反政府勢力により、社会主義政権が倒される。
  → 1993年  エリトリア が独立。 → エチオピアとの国境紛争が続く。
・h アンゴラ  1975年独立、社会主義政権ができるが、すぐに内戦に突入。
  → 1991年 和平合意。97年 統一政権樹立、共和国となる。
D.現代のアフリカの諸問題
・1980年代 経済危機深まり、IMFと世界銀行の介入によりa 構造調整政策 が取り入れられる。
  = 低開発の克服を目ざし、国際収支の改善、財政赤字の解消、インフレの鎮静化に取り組む。
  → 部族対立、貧困などの問題がかえって深刻化。
・2002年 b アフリカ連合(AU) の結成。従来のc OAU に代わり、結成される。
   → 53ヵ国、約8億人を擁する、世界最大の地域統合機構となる。(EUの影響。)
先頭へ

Text p.372

エ.地域紛争の多発と国際連合の活動
A 紛争の激化
 ・1980年代から、領土、民族、宗教などの対立を原因とするa 地域紛争 が多発するようになった。
  背景:b 米ソ冷戦体制が崩れ規制力が無くなったこと。ソ連解体に伴い民族国家が生まれたこと。 
 ・民族とは言語、宗教、文化などの共通性を意識する集団( エスニック=グループ )であり、
  近接したり混在しているところでc 民族紛争 が多発するようになった。
・現在も継続する地域紛争、民族紛争の主なもの(a~zは下の地図で位置を確認)
▲a ケベック 問題  カナダ・ケベック州のフランス系住民による独立運動。
▲b 北アイルランド 問題  イギリス・カトリック系住民のIRAのテロ 98年に和平協定。
▲c バスク人 問題  スペイン・ピレネー山地のバスク地方分離独立運動。
 d コソヴォ 問題  アルバニア系住民の独立運動をセルビア人政府が弾圧。
  1999年 セルビア人側が残虐行為を行ったとしてNATOが空爆。
▲e チェチェン 紛争  ロシア連邦からの分離を求める武装闘争。現在もテロが続いている。
▲f グルジア 問題  グルジア共和国内のアブハジア、南オセチアの分離独立運動。
  2008年 グルジアの南オセチア侵攻。ロシアが反撃し軍事衝突。
▲g スーダン 内戦 1983~2004年 北部のイスラーム政権と南部の非イスラーム勢力の対立。
  2003年 ダルフール地方でアラブ系兵士が黒人住民を虐殺。 ダルフール紛争 はじまる。
  2011年7月  南スーダン共和国 が独立。なおも石油資源をめぐる対立続く。
 h コンゴ 内戦  1997年、大統領を巡る権力闘争が内戦に発展。
 i アンゴラ 内戦  1975年独立、社会主義政権ができるが、すぐに内戦に突入。
 j ルワンダ 内戦  1990~94年。フツ族とツチ族の部族対立から起こった内戦。
           1994年 ツチ族の約100万人が犠牲となる虐殺が行われた。
 k ソマリア 内戦  1980年代から内戦状態。国連のPKO活動失敗し撤退。
   シエラレオネ内戦   1991年以来内戦が続く。2000年、国連の調停で内戦停止。
 l エチオピア・エリトリア国境紛争  1993年 エリトリアがエチオピアから分離独立。
 m リベリア 内戦  1980年代から政情不安続く。2006年、アフリカ初の民選女性大統領当選。
 n ジンバブエ 問題 1980年からのムガベ大統領の長期政権に対する民主化運動が起きている。
 o クルド人 問題  イラン・イラク・トルコにまたがて独立運動を展開している。
 p インド・パキスタン 紛争  カシミール地方の領有を巡る対立。最近、和平の動きあり。
 q タミル人 問題  スリランカ・多数派民族のシンハラ人に対する少数派の独立運動。
▲r アチェ 紛争 インドネシア・スマトラ島北部で武装独立運動を展開。
 s 東ティモール 問題  インドネシアに対する武装闘争。国連多国籍軍が介入し、02年に独立。
 t パレスチナ 問題 4度にわたる中東戦争。現在もアラブとイスラエルの対立続く。(既述)
 u イラク 問題 フセイン政権崩壊後もスンナ派とシーア派の対立などで政情不安続く。
 v アフガニスタン 問題 タリバン政権崩壊後も、その残存勢力のテロ活動が続いている。
    → タリバン勢力はパキスタン領内でも活動しているため、パキスタンでも政情が不安続いている。
 w チベット 問題 中国の支配に対する独立運動、2008年の北京オリンピックにあわせ活発になる。
 x 新疆ウイグル 問題 チベットと並んで、中国からの独立をめざす運動が続いている。
 y ネパール 問題 王政に対する共産主義勢力(毛派)の反抗続き、2008年に王政廃止。
 z ミャンマー 問題  軍事政権によるアウンサンスーチーなど民主勢力への弾圧が続いている。
・その他
▲1 キプロス 問題 1960年イギリスから独立。ギリシア系とトルコ系住民の対立が続いている。
 2 イエメン共和国 の内戦 1990年、南北を統合したイエメンで1994年に内戦が発生。
 参考  ・その他の対立が生じている地域
 エーゲ海領海問題 エーゲ海を巡るギリシアとトルコの国境紛争。最近は海底資源が問題となっている。
 南沙諸島問題 南シナ海の小さな島々を巡り、中国・ベトナム・マレーシア・フィリピンが争っている。
・日本の周辺諸国との問題
 領土問題:ロシアとの北方領土問題  韓国との竹島問題  中国との尖閣諸島問題  
 日本の戦争責任、靖国、教科書などを巡る、中国・韓国との問題
 北朝鮮との日本人拉致問題
  など 
 現在の主な地域紛争、民族紛争地図 地図 現代の民族紛争  
 国連の変質 
1.紛争解決への軍事介入
 ・a 平和維持活動(PKO)  役割は地域紛争の調停、内戦終了後の治安維持。
  → ▲その実施部隊がb 国連平和維持軍(PKF) :カンボジア、ユーゴスラヴィアなどで活動。
  → 1992年 日本 b PKO協力法 制定。カンボジアに自衛隊派遣。(戦後初の海外派兵)
 ・国連決議によるPKO以外の軍事行動
  1999年 コソヴォ紛争 2001年 アフガニスタン それぞれd NATO 軍が参加。
  2003年 アメリカ・イギリス・日本などによるc イラク派兵 
2.戦争被害の救済
 ・▲a 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)  1951年創設。難民条約による難民の保護。
 ・民間のb 非政府組織(NGO) による難民救済、医療、地雷除去、環境保護などの活動。
3.軍縮と戦争防止の取り組み (米ソ間の核軍縮については17章1節参照)
 ・1978年 国連軍縮特別総会 第5回非同盟諸国首脳会議の要請を受けて開催。
 ・1996年 a 包括的核実験禁止条約(CTBT)  国連総会で議決。アメリカなどが未批准。
 ・無差別兵器の禁止(p.358)
  1997年発効 b 化学兵器禁止条約  使用、生産、貯蓄、移動などの禁止。
 ・1999年発効。▲c 対人地雷全面禁止条約  アメリカ、ロシア、中国が未加盟。
 ・戦争犯罪の取り締まり ▲d 国際刑事裁判所(ICC)  2003年ハーグに設置。
   大量殺戮や戦争犯罪を裁く常設の国際裁判所。アメリカ、ロシア、中国、日本などは批准していない。
C.地域紛争の抑止し、経済協力を進める多国間機構
 国際連合を補い、地域紛争を抑止するための、多国間安全保障・経済協力機構の重要性が増している。
 ・a 東南アジア諸国連合(ASEAN)の拡大   結成時の5ヶ国に加え、84年にブルネイ、
  1995年にベトナム、97年にラオス、ミャンマー、99年にカンボジアが加盟、
   → 「ASEAN10」へ。
  1992年 ▲b ASEAN自由貿易地域(AFTA) を創設することで合意。
        最近では、日本・韓国・中国を加えた「ASEAN+3」の経済協力が進んでいる。
 ・b アジア太平洋経済協力機構(APEC) の結成
  1989年 オーストリアのホーク首相の提唱で第1回をキャンベラで開催。アジア・太平洋地域の
        経済協力を目的に、ASEANの他、アメリカ・ロシア・中国・韓国・日本が参加。
 ・c アフリカ連合(AU)  2002年、OAUから発展(前出)
 ・e 南米南部共同市場(MERCOSUR)  アメリカ主導の南米市場統合に対抗(前出)。 
 ・f NATOの変質  冷戦終結、ワルシャワ条約機構の解消で社会主義圏の武力侵攻の恐れなくなる。
   1999年 ポーランド、チェコ、ハンガリーの旧東欧社会主義国が参加。
   2004年 ルーマニア、ブルガリア、スロヴァキア、スロベニア、エストニア、ラトヴィア、
         リトアニアを加えて26ヵ国
  →全欧州の地域安全保障機構に変質し、平和に対する脅威や人権抑圧に対する軍事制裁を行うようになった。
D.環境問題への取り組み
1960年代~70年代 世界各地で、 環境問題 (公害)が起こる。
・1972年 a 国連人間環境会議  ストックホルムで開催 114カ国「かけがえのない地球」
  → b 「人間環境宣言」 を採択。国連総会、「国連環境計画」(UNEP)設立。
  → 1973年のc 第1次石油ショック による世界的不況のため、環境対策は停滞。
・1992年 d 国連環境開発会議 (地球サミット) リオデジャネイロで開催 「リオ宣言」発表。
  =「持続可能な発展」の理念のもと、e アジェンダ21計画 、「気候変動枠組条約」締結。
・1997年 f 地球温暖化 対策のg 京都議定書 採択。温室効果ガスの削減目標を国別を定める。
  → 中国、インドおよび途上国は除外される。2001年 アメリカなどが離脱。2005年 発効。
先頭へ


前節へ : 目次へ : 次節へ

ノート表示メニュー
全解答表示
未解答クリア
全解答クリア
印刷メニュー
解答なし
解答あり
この節の小見出し
ア.第三世界の分化
イ.アラブ世界の分裂とその影響
ウ.第三世界における強権支配の後退
エ.地域紛争の多発と国際連合の活動

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界