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牛耕

古代中国においては、春秋から戦国にかけて普及し、農業生産力の増大をもたらした。

漢代牛耕図

牛耕の図

 牛を使って畑を耕す牛耕農法の普及は、鉄製農具の普及と結びついている。鉄製の三角形の刃先を持つ犂(スキ)を1~2頭の牛に引かせ、人間の労力を節約しながら、深く耕すことができるようになり、それは大きな生産力の向上をもたらした。中国における鉄製の犂の出現は春秋時代から戦国時代ににかけてのころであり、出土品から確かめられており、また漢時代には牛耕をしている農夫を描いた絵が多数残っている。
 右の図は甘粛省の嘉峪関(かよくかん)で発見された、3~4世紀ごろの墓の室内を飾る煉瓦に描かれた画像で、先頭に二頭の牛に引かせた「すき」が進み、次に種まきの人が続き、後尾で二頭の牛に長い板を引かせている。最後の板は種に土をかぶせておさえる作業である。画像の右上に「耕して種をまく」と記されている。<林巳奈夫『中国古代の生活史』2009 吉川弘文館 p.65>
 なお、ヨーロッパで牛耕農法が一般化するのはずっと遅く、11~12世紀頃のアルプス以北で鉄製の重量有輪犂を牛馬に引かせるようになった。 
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林巳奈夫
『中国古代の生活史』
2009 吉川弘文館
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