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ヘンリ5世

イギリス・ランカスター朝の国王。百年戦争中のアジャンクールの戦いでフランスに勝利、フランス内のイギリス領を広げた。

 ランカスター朝のヘンリ4世の長子。若いころから武勇に優れ、人望があった。在位1413~22年。当時、百年戦争は休戦中であったが、その間国力を整えたヘンリ5世は再びフランス遠征の軍を起こした。自らイギリス軍の先頭に立って1415年、アジャンクールの戦いでフランスのシャルル6世軍に大勝した。アジャンクール(アザンクール)はフランス北部の丘陵地帯。ヘンリ5世は3000の歩兵を率い、約1万の騎士を中心としたフランス軍にぶつかり、長弓を用いた軽装の歩兵集団が、重武装したフランス騎兵を圧倒した。このアジャンクールの戦いは勝利の歴史としてイギリスで誇りとされている。フランス側の敗北は古い戦法に固執したことと、オルレアン派・ブルゴーニュ派が対立していたためであった。この勝利後、ヘンリ5世はノルマンディにおけるイギリス領の拡大をはかって足場を固め、ブルゴーニュ派と結んでシャルル6世の娘カトリーヌと結婚し、フランスの王位を狙うが、パリ郊外で病死した。カトリーヌとの間に生まれたヘンリ6世はフランス王を兼ねることを宣言し、オルレアン派の立てたシャルル7世と対立し、百年戦争は最後の激闘へと移っていく。

映画 ローレンス=オリヴィエ監督・主演『ヘンリ5世』

 ヘンリ5世は日本の世界史の教科書には登場しないが、イギリスでは人気の高い国王の一人で、シェークスピアも彼を主人公に『ヘンリ5世』を書いている。イギリスで最も人気のあった俳優ローレンス=オリヴィエは自ら監督主演して「ヘンリ5世」を映画化した。シェークスピア劇の舞台をそのまま映画に映し、華麗な中世絵巻に仕立てている。いささか冗長だが、アジャンクールの戦闘での長弓隊と騎士の乱戦などが興味深い。シェークスピア劇の雰囲気、甲胄に身を包んだ騎士たちの馬上戦など、コスチュームプレイとしては上出来。もっとも制作が1943年で、第二次世界大戦中のイギリス兵を鼓舞するのが狙いであったらしく、オリヴィエの台詞にもそれが目立つ。なお、1989年にはイギリスでケネス=ブラナーが再映画化しているが未見。
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ノートの参照
第6章3節 ク.百年戦争とバラ戦争
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ローレンス=オリヴィエ
『ヘンリー5世』1943