印刷 | 通常画面に戻る |

我が闘争

ドイツのヒトラーが獄中で著作。ゲルマン民族の優越性、ヴェルサイユ体制の打破などの政治的主張を展開した。

 ヒトラーが、国民(国家)社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)の活動理念、方針について描いたもので、いわゆるナチズムの聖典とされる書物である。1923年、ミュンヘン一揆の蜂起に失敗したヒトラーが、捕らえられて裁判で有罪となり、収監されたあいだに、ミュンヘンで第一部を口述筆記された。内容はヒトラー自身のオーストリア以来の生い立ちを延べ、ドイツ民族の優越とその裏返しのユダヤ人絶滅政策を激しく表現している。ヒトラー自身の思想を知る上では参考になるが、そこに述べられている内容には根拠に乏しく、偏見に満ちており、誤りも多い。

Episode 『わが闘争』全新婚家庭に贈呈

 ナチスは1936年以来、結婚式の際、すべての新婚夫婦に役場から『わが闘争』を贈ることにした。さらに全部で一〇〇〇万部近く売れたがほとんどが読まれなかった。敗戦と共に占領軍は『わが闘争』を初めとするナチス関係の書物の提出を命じたが、あつまったのはごくわずかに過ぎなかった。多くのドイツ人は、戦線が近づいてくると取り締まりを恐れて『わが闘争』を燃やすか、埋めてしまった。連合軍の将兵がたまに残っているこの本を見つけると、土産として取り上げていった。<マーザー『現代ドイツ史入門』1995 講談社現代新書 p.58>