ジャーヒリーヤ
アラビア半島の遊牧民ベドウィン社会の、イスラーム教成立以前の「無明」時代を言う。
アラビアのムハンマドによるイスラーム教えが成立した以前をいう。「無明(むみょう)」または「無道」とも訳される。このイスラーム以前の砂漠の遊牧民ベドウィン(アラブ人)は、部族的社会の中で、祖先崇拝や偶像崇拝を行い、また迷信を信じ、現世の栄華を求め、略奪や抗争をこととしていた。このような神を恐れず、真理に無知であった人々に対する警告者として登場したのがムハンマドであった。
参考 名著『マホメット』
井筒俊彦氏の『マホメット』は1947年に発表され、短編ながらムハンマド(マホメット)とイスラームについて日本人に正確な知識を提供したとされる名著である。現在は講談社学術文庫に収められているので簡単に読むことができる。なお井筒氏は慶応大学教授で国際的なイスラーム学者として知られた人。同書ではジャーヒリーヤは「無道」時代とし、イスラーム以前のアラビアの詩人たちの歌を発掘して、ベドウィンの騎士道が「享楽と苦渋」の時代に行き詰まっていったところに神による裁きと愛を説くマホメットが登場したと説いている。