イスラーム美術の特徴
一神教、偶像崇拝の否定からくるイスラーム美術の特徴。
イスラーム教は創始者のムハンマドの教えが偶像崇拝を厳しく否定しているので、アッラーやムハンマド自身を描いたり、像を造ると言うことは許されなかった。仏教やキリスト教も本来は同じように偶像崇拝を否定していたので、仏像やキリスト像などはなかったのであるが、ギリシア彫刻やヘレニズムの影響を受け、また布教上の便法からそれらが作られるようになり、美術的にも価値ある作品が生み出されたのにくらべて、イスラーム教ではそのようなことがなかったのが大きな特徴である。そのため一般的に絵画と彫刻は発達しなかったと言われる。美術の面では『コーラン』を書き写す際に美しく描こうとする中でアラビア文字の書道が発達し、いろいろな書体が生まれた。また絵画は書物の装飾的な挿絵として細密画(ミニアチュール)と植物模様を組み合わせたアラベスクが発達した。またモスクやマドラサなどのイスラーム建築は独特の美しさを発揮している。それらはイラン=イスラーム文化、トルコ=イスラーム文化、インド=イスラーム文化というバリエーションを生んでいく。