定期市
中世ヨーロッパの11~12世紀の農業生産力の向上を背景に、余剰生産物の交換の場として定期的に開かれた市場。商業都市に成長していった。
11~12世紀は、三圃制や重量有輪犂の普及などの農業生産力が向上し、さらに森林の伐採が進み、耕地面積が広がった結果、農産物の増産が著しい中世の大転換の時期となった。同時に都市では職人階級が大きく発展し、売買・交換する商品の量が増大した。そのため生産物を取引する市場が開かれ、その数も増えていった。こうして定期市はヨーロッパ各地で設けられるようになったが、12~13世紀に最も人々が集まったのが、シャンパーニュ地方であった。シャンパーニュの大市は、プロヴァン、ラグニー、トロワ、バル・シュル・オーブを年間を通して巡回した。
Episode 銀行(バンク)の起源
定期市は各国の商人もやって来る国際市であったので、さまざまな通貨の両替を行う専門商人が生まれた。中世末期には、人より幸運で抜け目のない両替商の一部が<銀行家(バンキュ)>となっていった。こうようばれたのは、彼らがはじめは台(バンク)の上で闇取引をしていたからである。後に彼らは自分の建物を持つようになり、それが銀行に発展した。<ジャック・ル・ゴフ/川崎万里訳『子どもたちに語るヨーロッパ史/子どもたちに語る中世』2009 ちくま学芸文庫 p.208>