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神曲

14世紀初頭、ダンテが著作した詩文でトスカナ語で書かれた。

 ダンテの代表作であり、かつルネサンスの最初をかざり、かつ最も重要な文学作品。正確な完成年度は不明だが、最初の地獄変は1300年ごろに書かれ、以後、煉獄編・天国編が1321年の死の直前まで続けられたと考えられている。ダンテはフィレンツェの人。
 内容は、ダンテ自身が古代ローマの詩人ウェルギリウスに導かれて、死後の世界の地獄、煉獄、天国を経巡(へめぐ)る物語で、それぞれ33歌、序の1歌をあわせて、全部で100歌となる。各歌は三行韻の連鎖でつづられ、1行11音節、第1行と第3行が韻を踏み、第2行は次の三行韻の第1行目と韻を合わせるという形式になっている。

トスカナ地方の口語で書く

 描かれている内容は、中世的な世界観、迷信の域を出ていないが、重要なことはこの作品がトスカナ地方の口語で書かれたことであった。ダンテは、『俗語論』という論文も残しており、そこでもラテン語はすでに死後になったことを確認し、口語すなわち話し言葉が方言のまま洗練されずにいることを懸念し、美しい「国語」に高める必要がある、そのためには国民的統一が必要であると主張している。この思想がイタリア語の形成の第一歩となった。
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書籍案内

ダンテ/山川丙三郎訳
『神曲』
岩波文庫 全3冊