ダンケルク
第二次世界大戦で、1940年5~6月、ドイツ軍に押されたイギリス軍がドーヴァー海峡に面したダンケルクから本土に撤退した。
ドーヴァー海峡に面したベルギーの港。第二次世界大戦で1940年5月、ドイツ軍の戦車部隊がのオランダ・ベルギー侵攻を開始、一気に急進撃し、イギリス・フランス連合軍は海岸線に追い詰められた。イギリス首相チャーチルは、イギリス軍のこの地からイギリス本土への撤退を指令した。撤退作戦は1940年5月27日に開始、5月31日と6月1日をピークに敢行され、せまり来るドイツ戦車部隊に怯えながら、6月4日までに連合軍兵士約33万8千が脱出に成功した。イギリス軍は多くの武器を失ったが、本土防衛の戦力を温存することができた。
Episode ダンケルクの謎
イギリス首相チャーチルはこの作戦を正しかったと自賛し、その成功を空軍の支援のたまものと賞讃している。しかしダンケルクに英仏軍を追いつめていながら、ヒトラーは戦車部隊の追撃にストップをかけた。このとき、一気に攻撃を続け、英仏軍を殲滅していれば、ドイツ軍のイギリス侵攻も可能であったと思われるが、ヒトラーがあえて追撃の手をゆるめた理由については、フランスが敗れたのちに、イギリスとの和平の見込みをよくしておくためではないかとか、今後の戦闘における戦車部隊の温存を図ったのではないか、などと言われている。しかし、ドイツ軍指揮官の間では、大きな機会を逃がしたという点で見方が一致している。<チャーチル『第二次世界大戦』2 河出文庫 p.57~59>