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関税と貿易に関する一般協定/GATT

1947年に発足した、国家間の自由貿易を推進するための国際協定。1995年に世界貿易機関に移行した。

 GATT(ガット)は、General Agreement on Tariffs and Trade の略。1947年10月にジュネーヴで23ヵ国が参加して調印され、1948年1月に発効した。第二次世界大戦前の資本主義諸国がブロック経済を形成して、互いに高関税政策をとって世界経済を停滞させ、軍事力に依存した抗争対立に転化したことを反省し、「自由・無差別」な世界貿易体制をつくり各国の経済を成長させて雇用を安定させることが必要であると考えられるようになった。

自由貿易体制とアメリカ

 その理念に基づきGATTは関税障壁をなくし、貿易の自由化をめざし、「多角的交渉」を実現することを目指した協定である。当初、1948年にハバナ憲章で国際通貨制度における国際通貨基金(IMF)に相当する機関として、国際貿易機構(ITO)が構想され、関税政策や雇用問題にも国際的な解決を図ることが目されたが、アメリカ議会が内政に関与しすぎるとして反対し批准されなかったため流産し、かわってGATTがその役割を担うこととなった。GATTはドルを基軸とした固定相場制とともにブレトン=ウッズ体制と総称される、第二次世界大戦後の国際金融・経済協力体制の重要な柱となった。
 本部はジュネーヴに置かれており、関税に関する交渉(いわゆるラウンド)もほとんどジュネーヴで開催されていた。ラウンドは今まで8回開催され、当初は2国間、品目別交渉が行われていたが、1964~67年のケネディ・ラウンドから一括関税引き下げ交渉が行われるようになった。
 現在は関税引き下げが一定の水準まで到達したとされ、1995年にGATTにかわり常設の機関として世界貿易機関(WTO)が設けられた。

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