フェアディール
アメリカのトルーマン大統領が、1949年の年頭教書で掲げた国内政策の標語。その理念はほとんど実現されなかった。
フェアディールは「公正な扱い」あるいは「公正な分配」の意味。第二次世界大戦後のアメリカ合衆国の1948年の大統領選挙でトルーマンはF=ローズヴェルトのニューディール政策の継承を掲げて当選し、翌49年1月の年頭教書で「すべての個人は政府からフェアディール(公正な扱い)を期待する権利がある」と述べた。フェアディールとして掲げられたのは国民健康保険制度・社会保障制度などを含む福祉国家の拡大をめざすものであった。しかし、議会ではニューディールに批判的であった共和党の力も強く、冷戦が進行する中で、社会主義型の福祉国家像よりも、「民主主義の下で自由な経済発展を遂げるアメリカ」を擁護する世論も強まり、またトルーマン政権自身も外交に重点が置かれるようになり、フェアディール政策としてはほとんど実施されなかった。