印刷 | 通常画面に戻る |

ベニグノ=アキノ暗殺事件

1983年、フィリピンのマルコス大統領独裁政治のもとで、政敵のベニグノ=アキノが暗殺された。それを契機に、反独裁の運動が起き、1986年にピープルパワー革命が起きる。

 1983年8月21日フィリピンマルコス政権下で、その独裁政治に反対を続けていた政敵のベニグノ=アキノが、マニラの空港で衆人環視の中射殺されるという事件が起こった。軍人による犯行であったが、事件の真相は明らかにされなかった。これを機に独裁政治に反対する声が強まり、1986年2月ピープルパワー革命が勃発し、マルコスは退陣、民主化が始まると言うこととなった。

Episode マニラ国際空港での惨劇

 1983年8月21日のマニラ国際空港での白昼の暗殺事件は世界の人々を驚かせた。この日アメリカでの心臓治療を終えて帰国するベニグノ=アキノは、暗殺の危険があることを十分察知し、防弾チョッキを重ね着して飛行機から降りようとした。その時制服の警官が機内に乗り込んできた。彼らの一人がアキノがタラップから降りるところをその後頭部めがけて拳銃を発射した。同行の記者団などが見ている前の、わずか1分たらずの出来事だった。しかもその映像はテレビに映し出され世界に配信された。実行犯とされたものが逮捕され、裁判にかけられたがいずれも証拠不十分で無罪となった。しかしそれがマルコス政権の中枢と関係があることを疑うものは誰もいなかった。<鈴木静夫『物語フィリピンの歴史』1997 中公新書 p.268-270>