第13章1節・オスマン帝国支配の動揺とアラブのめざめ
【問】次の文を読んで、下記の問いに答えなさい。
16世紀にはaアジア・ヨーロッパ・アフリカにまたがる大帝国を支配したオスマン帝国は、17~18世紀以降、弱体化と分裂の傾向が顕著になる。そのきっかけになったのは、 1683年の第2次ウィーン包囲の失敗であったとされる。その後結ぼれた( A )条約でハンガリーとトランシルヴァニアをオーストリアに割譲したのをはじめとしオスマン帝国は、ヨーロッパ側の領土を奪われていった。一方、アジア・アフリカのオスマン帝国領でも、諸民族の民族的自覚がたかまり、オスマン帝国からの自立を求める動きがさかんになった。 18世紀のなかば、アラビア半島ではイスラーム教の改革をとなえるbワッハーブ派の運動が起こり、トルコ支配に反発するアラブ人のあいだにひろまった。アラビア半島中部の豪族( B )家は、ワッハーブ派と協力してワツハーブ王国をたて、のちにメッカ・メデイナを占領してアラビア半島の大半を支配するようになった。 エジプトでは、cナポレオンの遠征による混乱に乗じて、ムハンマド=アリーが台頭した。オスマン帝国にエジプト総督の地位をあたえられたムハンマド=アリーは、旧勢力の( C )を一掃しフランスの援助を受けつつ、エジプトの近代化をおしすすめた。彼は、一時ワッハーブ王国をほろほしシリアの領有をめぐってオスマン帝国とたたかつて勝利をおさめるなどの勢いをしめした。しかしこのような動きはかえってヨーロッパ列強の介入をまねいた。近代化事業や戦争によって債務をかかえたことにより、エジプトは、1860年代からはdイギリス・フランスの財務管理下におかれることになる。このような状況に反発して起こされた( D )の反乱は失敗に終わったが、これは、その後のエジプト民族主義運動の原点となったとされる。 オスマン帝国の中心部でも、 19世紀のはじめから、( E )軍団の解散などの改革がすすめられていた。19世紀なかばのアブデユル=メジト1世は、eギュルハネ勅令を発して西欧化改革を開始し、オスマン帝国を近代的な体制をもつ国へ転換させようとした。また、1876年、fミドハト憲法を発布した。しかしこれらの改革には保守派の抵抗が強かったため、改革は不徹底なものに終わった。また、経済的に外国資本に依存する傾向が強まったので、ヨーロッパ列強のさらなる介入をまねき、g1878年の条約でヨーロッパ側の領土の半ば以上を一気に失うことになった。
- 問1.
- 文中の空欄( A )~( E )にあてはまる最も適切な語句を、下の〔語群〕の中からぞれぞれ1つ選び、記号で答えなさい。
〔語群〕
あ.サウード い.キュチュク=カイナルジ う.イェニチェリ え.バーブ教徒
お.トルコマンチャーイ か.シパーヒー き.ワフド党 く.カルロヴィッツ
け.パフレヴィー こ.バース党 さ.マフデイー し.ウラービー
す.アーヤーン せ.ベルリン そ.マムルーク
- 問2
- 文中の下線部a~gについて、それぞれ答えなさい。
- a.
- オスマン帝国最盛期に帝国を支配し1529年にはウィーンを包囲してヨーロッパ諸国に脅威をあたえたのは誰か。
- b.
- ワッハーブ派の説明として最も適切なものを選び、記号を記入しなさい。
- ア.
- 既成の宗教儀式の廃止や階級差別・男女差別の撤廃などをとなえる、神秘主義的新宗派
- イ.
- 第4代カリフのアリーとその子孫のみをムハンマドの正統な後継者と認める宗派
- ウ.
- 禁欲主義をとり、預言者ムハンマドの最初の教えに帰ることを主張する復古主義的な宗派
- エ.
- 自らを「ムハンマドの言行に従う者jと称する、代々のカリフを正統と認めるイスラーム教の多数派
- オ.
- 神との合ーを理想とし、奇跡や聖者の崇拝を重視する神秘主義的宗派
- c.
- この時ナポレオン軍によって発見され、古代エジプト文明の解明をすすめることとなった遺物は何か。
- d.
- この時期、フランス人のレセップスが中心になって建設がすすめられていたのは何か。
- e.
- この西欧化改革のことを何というか。
- f.
- この憲法の説明として誤りを含んでいるものを選び、記号で答えなさい。
- ア.
- 宰相ミドハトが中心になって編纂した。
- イ.
- 議会制共和政治を採用した。
- ウ.
- アジア最初の憲法である。
- エ.
- 翌年停止された。
- オ.
- 後の青年トルコ党は憲法の復活を掲げた。
- g.
- この条約は何という戦争の結果として締結されたものか。
解 答 解答欄ごとにクリック。全解答を表示するには右上の「全解答表示」をクリック。クリアは左上のメニューで選択。
問1
A | B | C | D | E |
く | あ | そ | し | う |
問2
a | b | c | d | e | f |
スレイマン1世 | ウ | ロゼッタ石 | スエズ運河 | タンジマート | イ |
g | |||||
ロシア=トルコ戦争 |
※別解:問2 e:恩恵改革 g:露土戦争