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アフリカ単一起源説

現在人類学の主流となっている、現生人類(われわれの直接の先祖)の起源をアフリカに求める説。

現生人類発生の地はアフリカか

 現生人類である「新人(ホモ=サピエンス)」の起源については、「旧人」から連続して進化したと見る見方と、「旧人」とは別に出現したとする見方とが対立していた。前者は「多地域進化説」といわれ、世界中の各地域で原人の時代から現代まで連続して人類は進化してきたと考え、北京原人の子孫が東アジア人となり、ジャワ原人の子孫が東南アジア人(やアボリジニ)となり、ネアンデルタール人がクロマニヨン人を経て現代のヨーロッパ人となったと主張していた。
 現在は、分子生物学の発達によって、化石人類の研究が進み、後者の考え方が有力となっている。特に「現生人類アフリカ起源説」が1987年に提唱され、現在ではほぼ確実視されている。その考えでは現生人類の進化のシナリオは次のようになる。
(引用)世界中のすべての現代人の起源は、20万~5万年ほど前のアフリカ(広いアフリカの中のどこかはまだ明らかでない)に現れたホモ=サピエンスである。彼らはある時期にアフリカからユーラシアに進出したが、その時旧人(ヨーロッパにはネアンデルタール人、中国では北京原人の末裔、東南アジアではジャワ原人の末裔)が残っていた。ホモ=サピエンスの到来とともに、これらの先行した人類はいなくなってしまった。なぜいなくなったのか、戦いがあったのか、混血の結果吸収されたのか、はまだ判らない。<海部陽介『人類がたどってきた道』NHKブックス 2005 p.40 などによる>

Episode アフリカのイブ

 「現生人類アフリカ単一起源説」とは、1987年、アメリカの人類学者レベッカ=チャンなどのブループが発表した。彼らは世界各地出身の147人の現代人からミトコンドリア(細胞内にある小器官で女性を通じてのみ遺伝する)のDNA(遺伝子情報)を集めて比較したところ、その共通先祖はおよそ20万年前のアフリカにいたことがわかった。この集団の中に世界中の現代人の共通祖先に当たるDNAをもつ母親がいたという「イブ仮説」とも言われる。その共通祖先を旧約聖書の最初の女性、イブの名で呼んだわけだ。
 その後、研究が進み、ネアンデルタール人の化石からDNAを取り出すことにも成功し、その結果彼らと現代人には遺伝子の上でのつながりがないことが判明した。現生人類はネアンデルタール人の子孫ではなかったのだ。
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ノートの参照
序章1節ア.人類の進化
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海部陽介
『人類がたどってきた道』
2005 NHKブックス