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DNA

1953年に発見された細胞中の遺伝をコントロールするデオキシリボ核酸。

 20世紀後半の最大の発見とされるのがDNA(デオキシリボ核酸)の発見である。1953年、イギリスのケンブリッジにあるキャヴェンディッシュ研究所で、25歳の青年科学者ワトソンが、先輩のクリックと二人で研究しその二重らせん構造をつきとめたものであった。この発見はX線回折像の写真撮影によって可能となったので、ワトソンとクリックの二人と、その写真撮影に成功したウィルキンスの三人に、1962年のノーベル医学生理学賞が与えられた。

DNAによるイブ仮説

 約20万年前にアフリカに住んでいた一人の女性が、現生人類つまりホモ=サピエンスのすべての人の祖先であるという説がある。これはミトコンドリアDNAを調べることによって提唱されたので、この女性はミトコンドリア・イブと呼ばれている。ところが、最近はホモ=サピエンスの起源を約30万年前とする説が有力となっており、イブ仮説と矛盾するように見える。だが、実は、ホモ=サピエンスの起源とミトコンドリア・イブのあいだにはもとから何も関係がないのだ。
 ヒトの細胞の中で、DNAがある場所は2つ、核とミトコンドリアであるが、ミトコンドリアにあるDNAは核にあるそれに較べて約20分の1というわずかしかない。ところが、ミトコンドリアDNAには変わった特徴があり、母系遺伝しかしない。核DNAは父親と母親から半分ずつ子どもに伝わるが、ミトコンドリアDNAは父親からは子どもに伝わらず、母親からだけ伝わる。ということはミトコンドリアDNAからみれば先祖は一人しかいない。(核DNAから見れば、先祖は倍々に無限に増えていく。)そして今のところ、20万年前のホモ=サピエンスの最初の化石がアフリカにしか見つかっていないということは、現生人類のミトコンドリアDNAでたどる先祖はアフリカにいた一人の女性、ということになる。(起源が30万年前になっても、それがアフリカであれば、やはりつまり、子どもがいなかったり、男の子しか産まなかった女性のミトコンドリアDNAは遺伝することなくしょうめつするから、ということか。この要約ではわかりずらいと思うので、気になる人は更科功氏の諸処のp.187の図を見てください。)<更科功『絶滅の人類史―なぜ「私たち」は生き延びたか』2018 NHK出版新書 p.186-191> → 関連アフリカ単一起源説
 化石人類研究での分子生物学の応用によって、最近ではホモ=ネアンデルターレンシスホモ=サピエンスの種の違いなどが明らかになっている。
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