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カーリダーサ

グプタ朝のチャンドラグプタ2世時代の宮廷で、『シャクンタラー』などを著したインドを代表する詩人。

 はっきりした生没年代は不明だが、4~5世紀、グプタ朝の全盛期チャンドラグプタ2世の宮廷で活躍したと考えられる、サンスクリット文学の作者。代表作『シャクンタラー』は英訳されてイギリスでも知られ、インドのシェークスピアと言われた。

Episode インドで薬指を無名指と呼ばれる理由

 インドではものを数えるのに小指から折り始めるが、インド第一の詩人として、まずカーリダーサに小指を屈した後、次に続く詩人がいないので、薬指は無名指と呼ばれるに至ったという。<辻直四郎『シャクンタラー姫』1977 岩波文庫 p.3 まえがき>
 『シャクンタラー』を見事な擬古文に翻訳したサンスクリット語学者辻直四郎氏の、文庫本の解説からカーリダーサについて抜き書きしておく。
 カーリダーサはインドの最も有名な詩人として知られているが、その年代を決定することは出来ない。信用するに足りぬ後世の伝説を除いては、詩人の生涯に関しても、何一つといて知られていない。インドの伝承では古くから、詩人をヴィクラマ・アーディティヤ王の名と結びつけている。この王をグプタ朝の英主チャンドラグプタ2世(およそ375~414年)に擬して考えることが、カーリダーサの年代を推定する最も有力な手がかりである。
 その生涯は、その作品の内部から推察する以外に資料がないが、おそらくはチャンドラグプタ2世の都ウッジャイニー(作品の中にその地を読んだ詩句が多い)に育ったバラモンで、当時詩文にたずさわる者に必要とされたあらゆる教養をつみ、かつヒンドゥー教的社会の制度・慣習に順応したことは、疑いをいれない。カーリダーサという名前が、「カーリすなわちシヴァ神の神妃の下僕」を意味することから見て、シヴァ天を最高神として信奉したものと考えられ、この点は彼の作品にも反映している。
 カーリダーサの作品には三十編以上に上るが、真作として認められるのは6編である。美文体叙事詩には『クマーラ・サンパヴァ』最高神シヴァとその神妃ウマーの結婚、軍神クマーラの誕生を歌う(後半を欠く)、『ラグ・ヴァンシャ』ラーマを中心としたラグ族諸王の事績を歌ったもので、美文体叙事詩の模範とされている。叙情詩には『メーガ・ドゥータ(雲の伝言)』、戯曲にも『シャクンタラー』意外に何作か残されている。
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ノートの参照
2章1節 キ.インド古典文化の黄金期
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カーリダーサ/辻直四郎訳
『シャクンタラー姫』
1977 岩波文庫