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突厥文字

8世紀に中央アジアで、大遊牧国家を築いたトルコ系民族の突厥が使用したアラム文字系の文字で、遊牧民最初の文字。

突厥文字
突厥文字の例
 中央アジアで活動した古代トルコ系民族である突厥が、8世紀頃の東突厥の時代に作り上げた文字で、北アジアの遊牧民が用いた最初の文字と言われる。西方のソグド人が用いたソグド文字が伝わり、それを改良したとされる。
 右図が突厥文字の例。732年に建てられた突厥帝国のキョル・テギン碑の一部。この例では、行は下から上へ、各行は右から左へと読む。<間野英二ほか『地域からの世界史8 内陸アジア』朝日新聞社 p.43>

突厥文字の発見と解読

 突厥文字は19世紀末に発見されたオルホン碑文によって存在が知られ、1893年にデンマークのトムセンによって解読された。オルホン碑文は東突厥のビルゲ可汗などの業績を称えて8世紀につくられたもので、モンゴル高原北部、バイカル湖に注ぐオルホン河畔にある。他に突厥文字の史料としてはイェニセイ碑文などがある。
新たな碑文の発見  2013年7月17日の朝日新聞によると、モンゴル東部の草原で新たな突厥文字の彫られた碑文が発見されたという。モンゴル科学アカデミー考古学研究所と大阪大学大学院大澤孝教授が、5月にウランバートル南東約400キロの草原の中の遺跡で、全長約4メートルと約3メートルの石碑が埋まっていたのを発掘した。計20行、2832文字の古代トルコ文字(突厥文字)が刻まれ、解読の結果、「我が家よ、ああ」「我が土地よ、ああ」など、死者が家族や故郷との別れを惜しむ文面だった。新聞には石碑とその文字の一部が写真で掲載されいた。<朝日新聞 2013年7月17日付朝刊>

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書籍案内

間野英二ほか
『地域からの世界史8
内陸アジア』
1992 朝日新聞社