印刷 | 通常画面に戻る |

ウィリアム=オブ=オッカム

14世紀のイギリスのスコラ哲学者。普遍論争で唯名論を展開し、近代思想への転換を導いた。

 14世紀イギリスのスコラ学者。フランチェスコ会修道士でもあった。オクスフォード大学パリ大学神学を学んだ。
 スコラ学では長く普遍論争が続き、13世紀にはトマス=アクィナスが出て実在論が主流となったが、オッカムは、「個が唯一の実在、説明されるべきは個体のみ。」と説いて実在論を批判し、普遍は精神の外でなんら実在性をもたず、観念は事物の記号に過ぎないという徹底した唯名論を主張した。そして、信仰と理性、神学と哲学の区別を説き、さらに教皇権と世俗の権力の区別も厳格にすべきであると主張した。彼の説はローマ教会からは否定されたが、近代的な経験論哲学の出発点をなしたものとして重要である。

参考 オッカムの剃刀

 ウィリアム=オブ=オッカムが云った言葉に「存在は必要以上に増やされるべきではない」というのがある。これは、真理は単純明快なものであり、それを説明するのに余計なことはできるだけ省くべきであるという意味で、「オッカムの剃刀(カミソリ)」と云われている。この言葉は、一般にある問題についていくつかの解答があった場合、「より少ない原理でより多くの現象を説明できる理論の方がよりよい」ということで、例えば天動説と地動説では、天動説では天体の運動と地上の物体の運動とで別々の法則を立てなければならないが、地動説は両者を一つの運動法則で説明できるかあ、こちらの方が正しい、と言うように使われる。
 これは普遍論争において、唯名論に立つオッカムが、「普遍的存在」を非存在として切り捨てるために使った理論だとされているが、オッカム自身の表現は「必然性がない限り、複数の物事を立ててはならない」という、方法論的な原則に過ぎなかったという。「オッカムの剃刀」という定型句もずっと後に作られたらしい。<清水哲朗「元祖《オッカムの剃刀》」哲学 1990年11月号 特集オッカム p.10>
 真理は単純に説明されなければならず、余計なものをカミソリで切り落とす必要があるという意味で捉えれば、2014年に現れたSTAP細胞さわぎで露呈した日本の科学者と云われる人たちの研究姿勢に対しても有効な警句なのではないでしょうか。
印 刷
印刷画面へ
ノートの参照
第5章4節 イ.学問と大学