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トマス=アクィナス

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トマス=アクィナス

13世紀イタリアのスコラ哲学、神学者。『神学大全』を著しスコラ哲学を大成した。 

 13世紀のスコラ学の代表的な神学者。イタリアに生まれ、ドミニコ会修道士からパリ大学教授となる。アリストテレス哲学をキリスト教信仰に調和させて解釈し、信仰と理性の一致をめざした。「普遍論争」では正統的な実在論をさらに発展させ、スコラ学(哲学)を大成したと言われる。その代表的な著作が『神学大全』(1265~73年ごろ)で、神の存在と教会の正当性を論証する大著として、後世のキリスト教に大きな影響を与えた。「哲学は神学の婢(はしため)」というのは神学をすべての学問の上位におくという彼の思想を表している。

「神の存在」の証明

 トマス=アクィナスが、キリスト教神学をアリストテレス哲学で解釈した、というのはどういうことだろうか。次のような例がわかりやすい。トマス=アクィナスは、神の存在を自然的理性で証明できるとの立場に立っていたが、かれが実際に証明する上で注目したのは、地上では毎日、昼と夜が交替するという現象だった。当時、地球は球体であることはほぼ認められていたので、彼はこの現象を太陽や月などの付着するいくつかの天球が地球の周りを回っているからだと説明し、巨大な天が動くことこと、はるかな天の彼方に神の住所があることの証明だとした。なぜならば、アリストテレスが言うように運動には必ず「動かし手」があるからである、というのがかれの説であった。こうしてアリストテレス学説と結びついたキリスト教の宇宙観は、天動説として揺るぎないものとなった。<鯖田豊之『ヨーロッパ中世』1988 河出書房版世界の歴史9 p.351>

異端の汚名

 トマス=アクィナスは、「神に関する真理」にはふた通りあり、ひとつは「人間の理性の力を完全に越えたもの」で、三位一体の教理がそうであり、もうひとつは「自然的理性によって理解することが可能」な真理で「神の存在、その単一性など」がこの範疇に属するとした。異端の汚名を着せられないように慎重に論理を展開して『神学大全』を著し、スコラ哲学の大成者と云われたトマスだったが、結局それも無駄だった。晩年の1270年と死後の1277年、かれの命題のいくつかは、パリ司教の手で異端宣告が下された。アクィナスほどの人物に対しても厳しい教会の異端審判が下されたのである。<鯖田豊之・同上書 p.349>
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第5章4節 イ.学問と大学