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アークライト

イギリスの産業革命期の発明家で、1769年に水力紡績機を発明、綿紡績の工業化に成功した初期産業資本家の代表的人物。

 アークライト Richard Arkwright (1732-92) は、イギリス産業革命綿工業における紡績工程で、ハーグリーヴズのジェニー紡績機に続き、1769年に水力紡績機を発明した発明家であり、ランカシャーで紡績工場を設立、その産業化に成功した。

水力紡績機で工場経営

 アークライトの水力紡績機は、ジェニー紡績機より強い綿糸を大量に生産することを可能にし、大量の綿花を原料とし、賃金労働者を雇用して大量に生産するようになり、綿製品はやがてイギリスの主要な輸出品としてインドなどに輸出されるという、産業構造を生み出した。一方で従来の手工業による機織り職人は仕事を奪われることとなり、1779年にはアークライトのランカシャー工場で機械うちこわし運動が起こっている。
(引用)リチャード・アークライトはプレストンの床屋であり、かつら製造業者であった。彼自身はなんら偉大な発明的才能のある人物ではなかったようであるが、彼は、その生まれ故郷の州と伝統的に結びついている性格の強さと分別の逞しさとを持ち合わせていた。……ジェニーと異なり、この紡績機は、それを動かすのに人間の筋力よりも大きい力を必要とした。このことからこの紡績機での紡績作業は最初から工場(mills or factories)で行われた。馬を動力とする小規模な設備で生産を試みたあと、アークライトは、富裕なメリヤス業者たち、すなわちノッティンガムのサミュエル・ニードおよびダービイのジュデダイア・ストラットの援助を求めた。1771年彼はクロムファドに水力で動く大きな工場を設立し、・・・これは同じくダービイにあったロムの絹工場にかたどって建設されたといわれる・・・そこで彼はごく短期間ではあったが、その大部分が子供である約六百人の労働者を雇用していた。」<アシュトン『産業革命』 岩波文庫 p.34-35>
 アークライトはここでは床屋とされているが、当時の床屋は外科医を兼ねていた。別な情報によると、アークライトは虫歯を抜く専門家だったともいう。また1785年、アークライトは水力紡績機を発明したと主張したが、裁判で虚偽とされ、その特許(パテント)が無効になり、一気に普及した。<川北稔『イギリス近代史講義』2010 講談社現代新書 p.42,164>

水力紡績機

アークライトが考案した動力に水力を用いる紡績機。より太く丈夫な糸を紡ぐことが可能となり、紡績の工場生産を増加させた。

 アークライトが発明した紡績機で、動力に水力を用いるとともに、糸の撚りと巻き取りを同時に行い、作業を連続してできるようにしたもの。従来のジェニー紡績機よりも太くて強い糸を大量に生産できるようになり、生産の量を急速に伸ばし、水力を用いて綿糸の工場生産を可能にした。しかし、欠点として太さが均一ではなかったので、ハーグリーヴズのジェニー紡績機と、アークライトの水力紡績機を組み合わせたクロンプトンのミュール紡績機が1779年につくられた。アークライトはその発明で特許を取っていたが、1785年に裁判によって特許が無効となったので水力紡績機は急速に普及した。ミュール紡績機が普及するのは19世紀に入ってからであった。
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ノートの参照
10章1節 イ.機械の発明と交通機関改良