印刷 | 通常画面に戻る |

星条旗/アメリカ合衆国国旗

独立時にアメリカ合衆国の国旗として制定された。州を表す★と、独立時の13州を表す横線から構成される。

アメリカ合衆国の最初の星条旗
アメリカ合衆国の最初の星条旗

アメリカ国旗「星条旗」

 アメリカ合衆国の国旗は「星条旗」 Stars and Stripes であり、6月14日は現在、Flag Day とされ、アメリカ市民は国旗を掲げて祝う。(しかし国の祭日ではない。)この星条旗は、フィラデルフィアの旗職人、ベッツィ(エリザベス)・ロスが考案したとされており、ワシントンの推薦で、大陸会議が1777年6月14日に採用した。<五十嵐武士『世界の歴史』21 中央公論社 p.123>
 この星条旗は13植民地が独立を達成して合衆国を構成した、original satates を示す13の★と、13条の赤と白の横線とで構成されていた。★と横線は順次加盟州が加わるごとに増やすことになっていたが、縞模様は増やすことが難しくなったので、1818年に独立当時の13本にもどし、州が増えると翌年の独立記念日7月4日に★だけを一つ増やすという法律が制定された。
 1959年、ハワイが50番目の州となったので、50の★を付けた現在の国旗が、1960年の7月4日独立記念日に、ボルティモアのマックヘンリー要塞博物館で初めて公式に掲揚された。

Episode 星条旗の「つくられた伝説」

 現在のアメリカ国民は、星条旗はベッツィ・ロスが考案したと信ている。実はこれは、つくられた伝説だった。1870年、ベッツィの孫にあたるヴィリアム・キャンビーは、フィラデルフィアにあるペンシルヴェニア歴史協会での講演で、彼が12歳のとき、当時84歳だったベッツィから、最初のアメリカ国旗をデザインしたという話しを直接聞いたと述べた。1876年にフィラデルフィアで独立百周年記念式典が開催されることになっていたので、当局が観光客集めのためにこの話を鵜呑みにして広めた。しかし、どうもこの話は怪しいと研究者は見ており、「つくられた伝説」であるようだ。状況証拠から判断すると、最初に星条旗をデザインを考案したのは、ニュージャージー植民地の政治家フランシス・ホプキンソンの可能性が高い。<杉田米行『知っておきたいアメリカ意外史』2010 集英社文庫 p.55-57>

星条旗の神聖化

星条旗
アメリカ合衆国の現在の星条旗
 現在、アメリカ合衆国では多くの国民は、星条旗は神聖なものとされ、公立学校では毎朝生徒が国旗に向かって忠誠の誓いを述べている。特に2001年9月11日の同時多発テロ事件後、アメリカ国旗は町に溢れ、国歌は広く歌われている。ところが、18世紀までは、星条旗にそのような神聖さはなかった。転機となったのは南北戦争であり、その時南部連合が独自の旗を用いたので、北部にとって星条旗は国家統合の重要なシンボルとなったのだった。南北戦争は国旗をめぐる戦いだったと言える。ついで1898年に米西戦争が勃発してナショナリズムが高揚、ニューヨーク州で公立学校での国旗掲揚が義務づけられ、それが各州に広がっていった。

星条旗裁判

 アメリカ合衆国憲法では信教・言論の自由は保障されており、それを根拠に、国旗・国歌に関する法廷闘争が行われてきた。1940年に「エホバの証人」信徒が学校での国旗への敬礼を拒否して退学となったことを不当だとして起こされた裁判では、最高裁は学校側の言い分を聞いて退学処分は正当と判決された。それに対する反対論は多く、わずか3年後には、ウェストヴァージニア州で信仰上の理由から国旗への敬礼を拒否したバーネット家の子どもたちが公立学校を退学させられたことで親が訴えた裁判では、最高裁は憲法修正第1条の信教の自由を根拠としてバーネット氏勝訴の判決を出した。これ以降、公立学校で国旗への敬礼や国歌への忠誠宣誓を法的に強制することは違憲とされ、現在に至っている。
 国旗を焼却することが合憲かどうかも争点となっている。1984年、レーガン大統領の政策を批判したテキサス州の過激派グループは国旗を燃やしたためテキサス州法違反として訴追された。これに対して最高裁は憲法に保障された言論の自由を根拠にテキサス州法を違憲との判決を出した。しかし、議会は世論の最高裁判決への反発を利用して、1989年に「国旗保護法」を連邦法として制定した。ところがその後も国旗焼却事件は続き、1990年に最高裁は国旗保護法に違憲の判決を下した。つまり、星条旗を踏んづけたり焼いたりしても罰せられることはない、ということになったのである。2001年11月の同時多発テロはナショナリズムの高揚をもたらし、国旗がはためくようになった。「アメリカでは、多種多様な国民を一つにまとめあげていくという課題と、憲法で保障された信教・言論の自由とのせめぎ合いが歴史的に繰り返され、今後も継続していくことが予想される。」<杉田米行『知っておきたいアメリカ意外史』2010 集英社文庫 p.62>
印 刷
印刷画面へ
ノートの参照
10章2節 イ.アメリカ合衆国の独立
書籍案内

杉田米行
『知っておきたい
アメリカ意外史』
2010 集英社新書