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パックス=ブリタニカ

19世紀半ば以降、植民地帝国を形成したイギリスの国際社会での優位を言う。

 19世紀のイギリスの、特にヴィクトリア女王の統治した時代、いわゆるヴィクトリア朝を、大英帝国、あるいは第二帝国といい、また古代ローマ時代のパックス=ロマーナ(ローマの平和)になぞらえてパックス=ブリタニカと言う。ラテン語で「イギリスの平和」の意味であるが、イギリスが「世界の工場」といわれた圧倒的な工業力と海軍力を背景に他の諸国を圧倒する国力を有したことによって、相対的に平和が保たれた時期を意味している。
 ナポレオン戦争後は、普墺戦争・普仏戦争・クリミア戦争・露土戦争などの諸国間戦争、あるいは民族運動、アメリカの南北戦争、アジアでの日清戦争、日露戦争、バルカン戦争などの大規模な戦争は続いたが、ヨーロッパ全域、世界全域に及ぶ戦争は起こっていない。しかし、19世紀末の帝国主義段階になるとこのイギリスの覇権に異議を申し立てたドイツが台頭し、またもう一つの大国ロシア(ヨーロッパの憲兵と言われていた)の社会が動揺、それに対して大西洋をへだたてアメリカ合衆国が急速に対するなど、大国間の力関係も次第に変動し、不安定となっていく。
 このように帝国主義時代にはイギリスの相対的優位も崩れていくが、それを決定づけたのが第一次世界大戦であった。
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