新人
旧人に次いで登場した人類で、現生人類(ホモ=サピエンス)のこと。約20万年前に登場した。アフリカから地球上に拡散した。
ブロンボス洞窟で発見された幾何学模様。
海部陽介『人類がたどってきた道』2005 NHKブックス より
ホモ=サピエンス
人類学上の現生人類でホモ=サピエンスという。化石人類としてはクロマニヨン人がいる。クロマニヨン人の他にヨーロッパでは北イタリア発掘の出現の時期
かつては約3(または4)万年前、とされていたが、現在では大幅に繰り上がり、約20万年前にアフリカに出現し、10万年前にヨーロッパ大陸にわたり、世界中に広まったと考えられている(アフリカ単一起源説参照)。2003年には16万年前の現生人類の化石がアフリカの大地溝帯で発見されたと報告されている。それらを総合すると、約60万年前にアフリカの原人を共通の祖先として旧人と新人が別れて別々に誕生し、別な道をたどって一方はネアンデルタール人となり、もう一方から現代人が現れたというシナリオが有力になっている。参考 詳説世界史の記述変更
山川出版社の『詳説世界史B』では、2012年度用までは新人の出現年代は「4万年ほど前」とされていたが、2013年度からの新版では「20万年ほど前、アフリカに現れた人類を新人といい・・・」というように、研究の進展を取り入れて変更した。特徴
旧石器文化を継承し、高度な狩猟採集技術を持ち、さらに1万年前から農耕と牧畜の技術を身につけ、地球上各地にさまざまな「文明」を形成した。その意味でホモ=サピエンス(知恵ある人)と言われている。彼らが残した洞穴絵画は「芸術」の起源ともされ、さらに「情報」を「抽象的な概念」で共有し、伝達するという現代人の能力も彼らからはじまったと考えられる。最近では現代人と共通するホモサピエンスの特徴として、抽象的思考、計画的能力、発明能力、シンボルを用いて知識伝達をする能力を持つことがあげられている。<海部陽介『人類がたどってきた道』2005 NHKブックス p.86,93> → 人類の拡散Episode 7万5千年前のアクセサリー
ホモ=サピエンスが「模様」やアクセサリーを造る能力を持っていたことを示す例が最近報告され、注目されている。2002年、南アフリカのケープタウンに近いブロンボス洞窟で、7万5千年前の地層からオーカー(ベンガラ)の塊が多数出土し、その中の二つに明らかに人間が刻んだ幾何学模様が発見されたと発表があった(左掲)。さらに2004年には同じ洞窟の地層から同じ穴があけられビーズ状になった巻貝の貝殻が多数発見された。この発見は、「シンボルを操作する能力」を人類が身につけたものとして最近特に重要な発見とされている。<海部陽介 同上 p.62-73>