貢納王政
ミケーネ文明期の古代ギリシアの国家形態。
「線文字B」が解読された結果、ミケーネ文明期の社会構造や王国の権力構造の仕組みがかなり明らかになった。それによれば、ミケーネ文明期の王は、かなり強大な権力を持っており、数十の村(共同体)に対し、金・銅・家畜・壺・亜麻のほか、種々の畜産物などより成る貢納(みつぎものを納めること)を義務づけ、重要な村には、貢納義務を監視するための役人を任命していた。しかし、官僚制度は未熟であった。土地は共同体の共有とされ、分割されてここの農民に分与されていた。貢納の義務を負うのは個人ではなく、村(共同体)であった。このような体制を「貢納王政」という。<太田秀通『スパルタとアテネ』1970 岩波新書 p.40 による>