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均輸法

漢の武帝の財政安定策の一つ。地方の余剰物資を貢納させ、不足地に転売して物価の均等化を図るとともに政府の収入とした。

 漢の武帝は、匈奴などに対する外征によって枯渇した国家財政を再建するために、増税政策・塩・鉄・酒の専売制などを進めたが、その財政安定策の一環として、平準法とともに財務官僚である桑弘羊(そうくよう)の提言により、前115年から実施された。

均輸法のねらい

内容  地方の特産物などの余っている地域(その価格がやすいところ)からは強制的に貢納させ、それを不足するところ(その価格が高いところ)に運んで安く売ることによって物価の均等化を図ったものであり、その収入は政府の財源とする財政安定策でもあった。物品の購入と中央への輸送を担当する均輸官を各地に設置した。
ねらい 物資の流通の円滑化、物価の地域差を解消と均等化、が表向きの狙いであるが、本質的には国家の役人が物資の購入、輸送を行うという「国家が商行為をする」ことによって直接的に利益を得、同時に商人の中間利益を防ぎ、商人を抑圧することによって国家財政の充実を図ったものと思われる。<西島定生『秦漢帝国』1997 講談社学術文庫版 p.247>
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書籍案内

西嶋定生
『秦漢帝国』
1997 講談社学術文庫