印刷 | 通常画面に戻る |

閻立本

7世紀、唐初期の政治家、画家で人物画に優れていた。『帝王図鑑』はその筆によるとされている。

 えんりっぽん。初唐(太宗の時代)の画家。宰相でもあった。中国の伝統的な画法を継承した人物画に優れ、『歴代帝王図巻』を作った。現在、アメリカのボストン美術館に所蔵されているが、残念ながら後代の模作であり、原本は残っていない。その作例は、晋の武帝司馬炎像などがある。
 唐の画家閻立本の作と言われる『帝王図鑑』に描かれた皇帝は、まるで生きているかのように描かれているが、同時に、皇帝の前にひかえる三人の人物に対して、皇帝が、皇帝たる風格を感じさせる。閻立本の人物画では、重要なことは形を写し取ることではなく、形を越えたもの、人物の精神性を表すことであった。これは「気韻生動」といわれ、後の中国絵画の基本として、人物画だけでなく、花鳥、山水を描く場合でも基本とされることとなる。<宇佐美文理『中国絵画入門』2014 岩波新書 p.4>
印 刷
印刷画面へ