王重陽
金支配下の漢人で、道教の改革を進め全真教を興した。
おうじゅうよう。王嚞(おうてつ)とも言う。12世紀中頃、金の支配下の華北で、道教の改革を唱え、全真教を起こした道士。道教に仏教(特に禅宗)・儒教の教義を取り入れ、新道教と言われる改革を行った。
道教の改革者
(引用)陝西省生まれの開祖王重陽は、始めは儒学を勉強し、つぎには武官で出世しようとしたが、ともに挫折し、五十歳近くなって神仙から金丹道の口訣を授けられて道士となった。その神仙は、呂洞賓、鐘離権、劉海蟾といわれている。それからは僧侶とくに禅僧と交わり、突飛な修行や荒行をしたあげく、1163年に儒仏道三教の同源論にたち、禅の要素を多く取り入れた全真教という特色のある道教集団をひらいた。陝西省ではほとんど入信者がなかったが、1167年にいった山東半島では馬丹陽以下七人の有力な弟子を始めとして多くの信徒を得た。<窪徳忠『道教の神々』1996 講談社学術文庫 p.100>王重陽の弟子の七真人のうちの一人、丘長春(丘処機、長春真人)はチンギス=ハンの信任を得てから急速に勢力が伸びた。