ヨーマン
中世イギリスでの独立自営農民のこと。封建領主の没落、三圃制農業の普及などを背景に出現した。ジェントリー(地主層)の下に位置する。
ヨーマン yeoman 、ヨーマンリyeomanry ともいう。中世末期のイギリスで、三圃制農業の普及などを背景に生産力が向上し、貨幣経済が復興した。貨幣経済の浸透は荘園での貨幣地代を普及させ、百年戦争・ばら戦争などで出費のかさんだ騎士階級=封建貴族(領主)を没落させた。その反面、農奴解放がすすみ、それまで農奴身分であった農民は解放されて自立していった。
ジェントリとヨーマン
イギリスの農村は中世末期から、没落した封建貴族と農民でも豊かな層は、ジェントリ(郷紳)となり、中間層の独立自営農民がヨーマン(ヨーマンリ)、その下に零細な農民というように分化した。ヨーマンは三圃制農法を基盤にして16世紀の絶対王政期には国王の軍事力を支え、またその中のピューリタン信仰に燃えた人々は、ピューリタン革命の中心勢力となっていく。しかし、18世紀の産業革命期までには三圃制農法を基盤としたヨーマンの農業経営は終わりを迎え、イギリスは地主による資本主義的な農場経営を行う近代農法に転換した。