カレー
フランス北部のドーヴァー海峡に面した要地。百年戦争で1347年にイギリスに占領され、1558年まで続く。20世紀の彫刻家ロダンの作品『カレーの市民』がある。
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フランスのカレー奪還
百年戦争後も、カレーだけはイギリス軍の占拠が続いたが、15世紀末に始まったフランス(ヴァロワ朝)と神聖ローマ皇帝(ハプスブルク家)のイタリア戦争の最終局面で、スペイン・ハプスブルク朝のフェリペ2世がイギリスのメアリ1世に出兵を要請、それに応えたイギリス軍がフランスに侵攻したが、かえってギーズ公の率いるフランス軍に敗れ、1558年にカレーを放棄した。これによって1346年以来、二百年以上イギリス領となっていたカレーをフランスが奪回した。ロダンの『カレーの市民』

東京 国立西洋美術館のロダン作「カレーの市民」
このロダンの作品は、カレー市の依頼を受けて、1888年に完成した。市民を戦火から守ろうと、自らイギリス軍の捕虜となった市長など6名の市民の話に感動したロダンだったが、彼の作ったのは英雄的にそそり立つ像ではなく、苦悩に打ちひしがれた群像だった。ロダンに委嘱した市当局は当初はこの作品を認めず、除幕式が行われたのは完成から8年もたってからだったという。ロダンは作品を一般的な彫像のように台座に乗せるのではなく、見る人と同じ高さにおくことと指定している。ブロンズ像なので幾つかのバリエーションがあり、東京上野の西洋美術館にあるのはその一つ。<国立西洋美術館ホームページ>