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ヒエロニムス

4世紀のアンティオキアで聖書をラテン語に翻訳した聖職者。

 アンティオキア教会の教父で、聖書をラテン語訳した。ヒエロニュムスとも表記。382年頃、ローマ教皇の要請で、それまでのギリシア語聖書から新約聖書のラテン語の統一を行い、さらに旧約聖書もギリシア語およびヘブライ語の原点からラテン語訳した。ヒエロニムスのラテン語訳聖書は「ウルガータ(またはヴルガータ、一般の意味)」といわれ、中世を通じて広く用いられ、カトリック教会の標準となった。また、キリスト教神学の確立に寄与したことから教父の一人とされている。

Episode 聖ヒエロニムスとライオン

 ある夕方、ヒエロニムスが修道士たちと聖書の朗読をしていると、一頭のライオンがが足を引きずりながら修道院に入ってきた。修道士たちは驚いて皆逃げ出したが、ヒエロニムスだけはまるで客人を迎えるようにライオンに近づいた。ライオンの足には茨のとげが突き刺さっていた。ヒエロニムスは修道士たちを呼び戻してライオンの手当をしてやった。ライオンはその後も家畜のように修道院に住みついたという。ヒエロニムスのライオンのエピソードは中世ではよく知られた聖者伝説であり、多くの絵画などに描かれている。<樺山紘一『地中海』2006 岩波新書 p.90>
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