カラック船
大航海時代に使われた、三本マストの大型帆船。ナウ船を大型にしたもの。
ナウ船(スペイン語ではナオ船)という三本マストの大型船をさらに大型にしたもの。大航海時代の遠洋航海術の発達を示す船舶の形態。1440年後に始まる帆船の改良によりカラベル船が出現し、エンリケ航海王子の時代から遠洋航海の主力となっていたが、より長期の航海に耐えることとのできる食料や備品を積載できる大型船の改良が行われ、その結果作られたのがカラック船である。
ナウ船とカラック船
ナウ船は「高い船尾楼と船首楼を備え、前檣と主檣に多くの横帆を、後檣に一枚の大三角帆を展張する帆装様式を持った400トン級乃至それ以上の大型三檣帆船である。1450年頃にその出現が報ぜられたことこれらの大型船はヴァスコ=ダ=ガマが用い、コロンブスもまたその第2次航海時の大船団で使用しており、その各種の派生型は長い間、遠洋航海事業に活躍することになる。ナウ船の恐らく最もよく知られた変種はスペインの例の“白銀艦隊”やエリザベス女王麾下の海軍で使用されて名の高かった《ガレオン》船である。これはナウ船よりも大型であったと考えられているが、その技術的な相違については諸説紛々として定まらない。次いで現れるのが巨大な《カラック》船で時には七層または八層甲板の、1000トン乃至それ以上に達する巨船であり、1000人もの人を乗せて航海することができた。」<ペンローズ『大航海時代』荒尾克己訳 筑摩書房 p.333-334>