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世界の一体化

16世紀の大航海時代に始まり、19世紀半ばの資本主義形成期に実現した。

 世界史上の文明圏(地中海世界、ヨーロッパ世界、イスラーム世界、南アジア世界、東南アジア世界、東アジア世界などなど)は、隣接しあう文明圏どうしの交渉や、ユーラシアの内陸交通路、海上交通路などをパイプとした交渉や交易を行っていたものの、基本的には自己完結的に存在していた。文明圏には時代によっては膨張的だった時期(十字軍時代のヨーロッパ世界、イスラーム世界、モンゴル帝国など)もあるが、中国の王朝や日本の鎖国のように外部の文明との対等な交渉を拒否することもあって、いわばバラバラに存在していた。そのような世界が一体化したのは、12~13世紀の十字軍運動、モンゴル帝国の膨張の時期をいわば準備期間とし、15世紀末に始まり16世紀に展開されたヨーロッパ・キリスト教国の大航海時代に本格的に始まり、ルネサンス時代の科学的知見の拡大、航海技術の発達などを経て一段と進んだ。
 この段階は旧大陸のヨーロッパとアジアが直接的に交流するようになっただけではなく、南北アメリカ大陸という新大陸が「発見」(これはあくまでヨーロッパ側からの云い方だが)されて、「征服」されたことによって、地球的規模での「世界の一体化」が生まれた。特に新大陸で産出するスペイン銀が、ヨーロッパだけでなくアジアにももたらされ、事実上の世界共通通貨となることによって資本主義的世界経済が準備された時期であり近代世界システムが形成された時期であった。次の18~19世紀前半の産業革命期の西欧諸国の植民地拡大期に世界の一体化はさらに進み、実体のあるものとなった。1858年に極東の地にあり、鎖国政策を続けていた日本が開国したことは、資本主義的な世界の一体化が完成したことを意味する世界史的な出来事であった。
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