マサッチョ
15世紀、ルネサンス期のフィレンツェで活躍した画家。遠近法を開拓した。
マサッチョ『聖ペテロ伝 貢の銭』(部分)
マサッチョの遠近法
右のマサッチョの作品は、フィレンツェのサンタ=マリア=デル=カルミネ聖堂のブランカッチ礼拝堂の壁画連作「聖ペテロ伝」の一部。中央のイエスを使徒たちが取り巻いている図であるが、一人ひとりが強烈な個性を宿している。このような人物表現はジョットを継承するものであるが、マサッチョはジョットのように輪郭線に頼らず光の明暗で量感を表した。そして背景の山なみに描写に遠近法が用いられ、深い空間を感じ取ることができる。<高階秀爾『カラー版西洋美術史』 美術出版社 などによる>絵画における最初の近代芸術家
サッチョは不幸にして26歳の若さで世を去ったが、彼の残したブランカッチ教会堂の壁のフレスコ画は、フィレンツェのみならず各地から画家、芸術家が訪れて学ぶところであった。ヴェロッキオ、ギルランダイオ(ミケランジェロの師匠)、ボッティチェリ、ダ=ヴィンチなどもこの会堂でマサッチョの作品に学んでおり、15世紀ルネサンス絵画芸術の一大源泉であった。<羽仁五郎『ミケルアンヂェロ』1939 岩波新書 p.109>