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マサッチョ

15世紀、ルネサンス期のフィレンツェで活躍した画家。遠近法を開拓した。

マサッチョ「貢の銭」
マサッチョ『聖ペテロ伝 貢の銭』(部分)
 Masaccio 1401-1428? マザッチョ、マサッチオとも表記。15世紀初めにフィレンツェにあらわれた画家で、建築におけるブルネレスキ、彫刻におけるドナテルロとともに、絵画の面で「近代的表現」を創始した人物とされている。彼は、ジョットの画風を引き継ぎ、ドナテルロの彫刻と、ブルネレスキの建築に学びながら、ルネサンス期の新しい絵画技法である遠近法を開拓した。『楽園追放』などが代表作であり、聖書に題材を取っているが、そこに描かれた人物は、感情表現が豊で人間的である。

マサッチョの遠近法

 右のマサッチョの作品は、フィレンツェのサンタ=マリア=デル=カルミネ聖堂のブランカッチ礼拝堂の壁画連作「聖ペテロ伝」の一部。中央のイエスを使徒たちが取り巻いている図であるが、一人ひとりが強烈な個性を宿している。このような人物表現はジョットを継承するものであるが、マサッチョはジョットのように輪郭線に頼らず光の明暗で量感を表した。そして背景の山なみに描写に遠近法が用いられ、深い空間を感じ取ることができる。<高階秀爾『カラー版西洋美術史』 美術出版社 などによる>

絵画における最初の近代芸術家

 サッチョは不幸にして26歳の若さで世を去ったが、彼の残したブランカッチ教会堂の壁のフレスコ画は、フィレンツェのみならず各地から画家、芸術家が訪れて学ぶところであった。ヴェロッキオ、ギルランダイオ(ミケランジェロの師匠)、ボッティチェリ、ダ=ヴィンチなどもこの会堂でマサッチョの作品に学んでおり、15世紀ルネサンス絵画芸術の一大源泉であった。<羽仁五郎『ミケルアンヂェロ』1939 岩波新書 p.109>
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書籍案内

高階秀爾
『カラー版西洋美術史』
美術出版社