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ダイムラー

ドイツで1886年、ガソリンを燃料にしたエンジンを搭載した自動車を製造した。

 ダイムラー Gottlieb Daimler 1834-1900 は、ドイツのビュルテンベルクの生まれ、シュトゥットガルト工業大学で学び、イギリスに滞在した後帰国し、ガソリンを燃料とした4サイクルエンジンを発明(1862年)したオットーの工場で工場長を務めていた。ガソリンを燃料としたエンジンは、蒸気機関に代わって新しい動力として注目され、その利用の幅を拡げつつあったが、ダイムラーは1882年に独立し、エンジンを搭載した自動車の開発に狙いを定めた。
 彼はオットーのエンジンを小型化するため回転数を4倍の毎分800回転に上げることをもくろみ、1883年に縦型の単気筒250cc、0.4馬力のエンジンを完成、1885年には空気と燃料を混ぜた混合気を機関に送り込む気化器を考案し、さらにその三分の二ほどにガソリンを入れ、ガソリンの濃度の濃い空気ができるようにした。ダイムラーその小ささを誇示するために、まず二輪車にとりつけた。そのエンジン付き自転車、つまりオートバイは長男パウルが乗り、3キロメートルの試走に成功した。時速は12キロメートルほどだったらしい。翌1886年、460cc、1.1馬力のエンジンを4輪馬車に取りつけ、初めて4輪のガソリン自動車を製作した。

好敵手ベンツ

 マンハイムのカール=ベンツ Carl Friedrich Bentz 1844-1929 は同じ1885年に自動車を作ったが、それに蓄電池と誘導コイルをつないだ回路によって点火栓に火花を起こすようにした。翌1886年にダイムラーはガソリン機関をのせた4輪の自動車を製造したが、ベンツもこの年の1月に4サイクルエンジンを搭載した三輪車の特許をした。ダイムラーとベンツがともに1886年にガソリンエンジンを搭載した自動車を製作したので、この年が、ガソリン自動車誕生の年とされている。
 ダイムラーは1890年、ダイムラー自動車会社を創設、1890年代にはガソリンエンジンの改良、多様化が進み、自動車時代が始まることとなった。1903年のライト兄弟の飛行機にもガソリン機関がとりつけられ、ガソリン機関の発明が、本格的な飛行機の出現を可能にしたばかりでなく、内燃機関の中で最も多く用いられるようになった。1926年にはダイムラーとベンツは合併し、ダイムラー=ベンツ社となって、メスセデス=ベンツなどの製造・販売で成功を収めた。<鈴木真二『飛行機物語』2012 ちくま学芸文庫 p.98 などによる>
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