印刷 |  通常画面に戻る |

第12章 欧米における近代国民国家の発展

4 19世紀欧米の文化

Text p.253

ア.ロマン主義と自然主義 用語リストへ
 古典主義 の完成 18世紀末~19世紀初め
・文学 a ゲーテ 独『ファウスト』 b シラー 独『群盗』など c 「疾風怒涛」 の文学。
・絵画 d ダヴィド 仏 ナポレオンの主席画家。その弟子e アングル 仏。ドラクロワと激しく対立
    スペインではf ゴヤ が活躍。「裸のマヤ」 「1808年5月3日」(前出) 「戦争の惨禍」
・音楽 g ハイドン 独 交響曲『軍隊』など、「交響楽の父」
    h モーツァルト 墺 歌劇『魔笛』、多くの交響曲、室内楽など
    i ベートーヴェン 独 交響曲『英雄』、『運命』、『第九・合唱つき』など
 まとめ=j フランス革命からナポレオン時代、合理的な啓蒙思想、自由と民族の自覚が広がる。 

Text p.254

 ロマン主義  19世紀前半(ウィーン体制の時期) 
・文学 独  ノヴァーリス  『青い花』    ヘルダーリン  『ヒュペーリオン』
     a ハイネ  詩人『歌の本』    グリム兄弟  『グリム童話』
   英  スコット  歴史小説  b バイロン  ギリシア独立運動参戦   ワーズワース  詩人
   仏  シャトーブリアン  『アタラ』『ルネ』  c ユーゴー  『レ=ミゼラブル』など
   露 d プーシキン  『オネーギン』『大尉の娘』など    ゴーゴリ  『検察官』『死せる魂』など
   デンマーク  アンデルセン  『即興詩人』など   アメリカ  ホイットマン  詩人『草の葉』(1855)
・絵画 e ドラクロワ 仏 ギリシア独立戦争 「キオス島の虐殺」  七月革命 「民衆を導く自由の女神」
・音楽 f シューベルト 独「冬の旅」「未完成交響曲」   g シューマン 独「トロイメライ」
    h ショパン ポーランドからパリに亡命   i ワグナー 独 楽劇「トリスタンとイゾルデ」
     ベルリオーズ  仏 「幻想交響曲」   リスト (ハンガリー) 多くのピアノ曲を残す
 まとめ=j 理性よりも個人の感情や意思を尊重し、また民族の歴史や個性を重んじる風潮が生まれる。 

B ロマン主義 の絵画

ドラクロワ アルジェの女たち

 ドラクロワ  アルジェの女たち

C 写実主義 の絵画

クールベ アトリエ

 クールベ  アトリエ

C 自然主義 の絵画

ミレー 夕べの祈り

 ミレー  夕べの祈り

 写実主義    19世紀なかごろ~19世紀末 
・文学 仏 a スタンダール   「赤と黒」(背景:王政復古期)  「パルムの僧院」(背景:ナポレオンのイタリア遠征)
      b  バルザック 「人間喜劇」
      c フローベール   「ボヴァリー夫人」   「感情教育」(背景:二月革命)
    英 d ディッケンズ 「二都物語」(背景:フランス革命) 「オリヴァー=トゥイスト」
    露  トゥルゲーネフ  『父と子』『狩人日記』など
      e ドストエフスキー 「死の家の記録」「罪と罰」「カラマーゾフの人々」など
      f トルストイ  「戦争と平和」(背景:ナポレオンのモスクワ遠征) 「アンナ=カレーニナ」「復活」など
       チェーホフ  演劇『桜の園』『三人姉妹』『伯父ワーニャ』など
・絵画 仏 g クールベ  パリ=コミューンに参加 「石割り」、 「アトリエ」 など
 まとめ=h 社会や人間をありのままに描く。感情や個性の発揮よりも客観的な描写を重んじる。 
 自然主義   19世紀後半 
・文学 仏 a ゾラ 「居酒屋」 ドレフュス事件の告発(14章1節) b モーパッサン 「女の一生」
    ノルウェー c イプセン 「人形の家」
・絵画 仏 d ミレー 「落ち穂拾い」  e ドーミエ 革命と共和派で活動
  まとめ=f 資本主義社会の矛盾が激しくなる時期に、社会の矛盾を追及する作品が生まれた。 
19世紀後半 “世紀末の芸術”
・文学 耽美主義 a ボードレール 、b ワイルド 
   象徴主義 マラルメ、c ヴェルレーヌ ランボー
・美術d 印象派  遠近法や写実を否定、感性で捉えた光を平面的に描く。日本の浮世絵の影響。
    転換 e マネ  仏:「草の上の食事」、「オランピア」、 「マクシミリアンの処刑」
  → 展開 f モネ  仏:「印象・日の出」「パラソルをさす女」「睡蓮」
       g ルノワール  仏:「浴女たち」「ピアノの前の少女たち」
マネ 草の上の昼食

 マネ  草の上の昼食

モネ 睡蓮

 モネ  睡蓮

ルノワール ムーランドラギャレット

 ルノワール  ムーラン=ドラ=ギャレット

   h 後期印象派  19世紀末に盛んになる。
     i セザンヌ  仏:風景画、静物画 「松の木のあるサント・ヴィクトワール山」
     j ゴーガン  仏:晩年はタヒチに渡る。「イア・オラナ・マリア」、「タヒチの女たち」
     k ゴッホ  オランダ:「ひまわり」「アルルの寝室」など
セザンヌ

 セザンヌ  サント=ヴィクトワール山

ゴーギャン タヒチの女

 ゴーガン  タヒチの女

ゴッホ 自画像

 ゴッホ  自画像

   彫刻 l ロダン  仏:「考える人」「カレーの市民」など
   アール=ヌーボー クリムトやミシャ(絵画)、ガレ(ガラス工芸)などが活躍
・音楽 新古典派  ブラームス   国民楽派  ムソログスキー   チャイコフスキー   スメタナ

Text p.255

文頭へ
イ.哲学と人文・社会科学 用語リストへ
<哲学・思想>
1.a ドイツ観念論 の完成 カント → フィヒテ → シェリング(ロマン派哲学)
  →b ヘーゲル の弁証法哲学。ドイツ観念論を完成させる。
2.a 唯物論 の形成 b フォイエルバッハ 唯物論哲学  →
  c マルクス の弁証法的唯物論、d エンゲルス と共に1848年e 『共産党宣言』 発表。
   → 社会主義運動。1867~94年d 『資本論』 を完成、マルクス主義経済学。
3.a 実存主義 のさきがけ
  b ショーペンハウエル ペシミズムの哲学 c キェルケゴール 「死に至る病」
   → 19世紀末 d ニーチェ 近代的合理主義の批判 超人の思想。
4.a 功利主義  イギリスのb ベンサム  ”最大多数の最大幸福”を説く
  c ジョン=ステュワート=ミル  功利主義を発展させ社会改良、女性参政権を主張。
  d ハーバート=スペンサー  ダーウィンの影響を受け社会進化論を説く。
5.a 実証主義  フランスのb コント  社会学の基礎を作る
<人文・社会科学>
 資本主義と国民国家の形成と連動
1.イギリス a 古典派経済学 の形成 アダム=スミスの流れをくむ自由放任主義の主張
       b マルサス  「人口論」
       c リカード  労働価値説による自由貿易主義を展開
2.ドイツ  a ランケ  近代史学 (史料批判に基づく「世界史」の創始)
       b サビニー  歴史法学 (歴史的所産としての法の意味を説く)
       c リスト  歴史学派経済学 (自由貿易主義を批判、保護関税理論を展開)

Text p.256

文頭へ
ウ.科学・技術と市民生活 用語リストへ
産業革命の工業の発達と連動
1.物理学 a ファラデー  英 1831 電磁誘導の法則   33 電気分解の法則
      b マイヤー  ヘルムホルツ  独 1847 エネルギー保存の法則
      c レントゲン  独 1895  X放射線の発見
      d キュリー夫妻  仏 1898 ラジウムの発見
2.化学  e リービヒ  独 有機科学分野の開拓
3.医学  f パストゥール  仏 1880年 狂犬病予防接種に成功
      g コッホ  独 1882 結核菌発見  83年 コレラ菌発見
4.生物学 h ダーウィン  英 1821-36 ヴィーグル号で世界周航
       1858年 i 進化論 を発表 j 『種の起源』 
       → キリスト教的世界観に大きな衝撃を与える。
      k メンデル  墺 1865 遺伝の法則
5.l 電気  m モールス  米 1837年 電信機の発明
       → 海底電信ケーブル  1851年に英仏間のドーヴァー海峡、1866年に大西洋に敷設
      n ベル  米 1876年 電話機
      o エディソン  米 1879年 電灯・映画・蓄音機
      p マルコーニ  伊 1895 無線電信
6.q 石油  r ダイムラー  独 1883 ガソリン機関 86年 四輪ガソリン自動車製作
      s ディーゼル  独 1897 ディーゼル機関発明
7.化学工業 t ノーベル  1867年 ダイナマイト発明 遺言により1901年より ノーベル賞 創設。
  1880年前後 乾板写真・パルプ・人造繊維などが登場
8.市民生活の変化
 ・u 近代都市 の誕生
   パリ:第二帝政期にv オスマン によって改造。上下水道、放射状道路などの整備。
   ロンドン:w 地下鉄 の開通。
 ▲1851年 ロンドン博覧会でx トマス=クック が旅行社を設立、団体旅行を成功させる。
   同  年 ロンドンで世界最初の通信社y ロイター通信 が設立される。
文頭へ
エ.地理上の探検 用語リストへ
1.a オーストラリア の発見

Text p.257

  17世紀 オランダ人、b タスマン が大陸発見
  18世紀 イギリスのc クック の探検  1788年 イギリスの流刑植民地となる
  1851年 ニューサウスウェールズ、ヴィクトリアで金鉱発見
2.d 太平洋探険 
  18世紀 c クック   ニューギニア 、ニュージーランド、
   → 1779年 ハワイに到達。原住民に殺される。
3.e アフリカ探検 の進展 列強による分割の前提となる。
  f リヴィングストン (英)1849→73:ヴィクトリア瀑布の発見
  g スタンリー (英)1871→88:タンガニーカ、コンゴ地方を探検
4.中央アジアの探検
  h ヘディン (スウェーデン)の活動 楼蘭の発見(1901) 「さまよえる湖」
5.極地探検(20世紀)
  i ピアリ (米)1909 北極到達。
  j アムンゼン (ノルウェー)1911年 南極点に初めて到達。
  k スコット (英)1912年 南極到達、帰路に遭難死。
▲6.1884年 ワシントン会議
  本初子午線をロンドンのl グリニッジ天文台 の経線とする。
   ← イギリスでのクロノメーター(ゼンマイ時計)の発達。フランスはパリを主張する。 
文頭へ


前節へ : 目次へ : 次節へ

ノート表示メニュー
全解答表示
未解答クリア
全解答クリア
印刷メニュー
解答なし
解答あり
この節の小見出し
ア.ロマン主義と自然主義
イ.哲学と人文・社会科学
ウ.科学・技術と市民生活
エ.地理上の探検

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界