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金融資本

資本主義の発達過程で、産業資本と銀行が結びついて生まれた資本の形態。

 金融資本という概念は、1910年、ドイツの社会主義者ヒルファーディングの『金融資本論』で提示された。資本主義の発達過程において、資本を蓄積した産業資本と、銀行が結びつき、銀行を中核として、重化学工業に必要な巨額の資本を調達するようになった資本の形態を金融資本という。金融資本はさらに恐慌によって淘汰されながら、集中を進め、独占資本が形成されていく。
 イギリス(及びヨーロッパ各国に跨る)のロスチャイルド財閥がその典型的な例である。ロスチャイルド家は、はじめ18世紀にフランクフルトで金融業を営んでいたユダヤ系商人で、ナポレオン戦争の時、反ナポレオン陣営に資金を融通して巨富を得、ウィーン会議後はヨーロッパ各国の公債を引き受けて発行し、鉄道事業にも進出した。さらに一族をヨーロッパ各国の支店に配属し、国際的な金融資本家となった。イギリスのディズレーリがスエズ運河会社の株式を買収するときにその資金を提供したのもロスチャイルド家である。その後、石油産業にも進出、イギリスとの関係を強め、イギリス貴族に列せられた。
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