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巻き返し政策

1953年、アメリカのアイゼンハウアー大統領の下でダレス国務長官が提唱した対ソ、共産圏に対する積極的攻勢をめざす外交政策。

 1953年1月に就任したアメリカの共和党アイゼンハウアー大統領が、その就任演説で、ソ連を中心とした共産圏の攻勢に対して積極的に反撃し、共産圏諸国の開放をめざすことを掲げた。これは、それまでの冷戦下のアメリカの外交政策であった民主党トルーマン大統領の提唱した対共産圏「封じ込め政策」を手ぬるいものとして批判し、より積極的にソ連に対抗しようとする姿勢に転換したモノであり、「巻き返し(ロールバック)」政策と言われた。

ダレスが推進役

 巻き返し政策を推進する役割を担ったのが国務大臣ダレス(John Foster Dulles)であった。ダレスは「封じ込め政策」を消極的で受け身なやり方であると批判し、共産主義に対してもっと積極的な「巻き返し(ロールバック)」によって東欧諸国の解放を目指す世界戦略を立てるべきであると主張した。

ソ連の転換

 これにたいしてソ連側は同年にスターリンが死去し、マレンコフ首相・フルシチョフ共産党書記らの集団指導体制に移行し、平和共存策を打ち出した。アイゼンハウアーはダレスの反対を押し切りってジュネーヴ4巨頭会談に参加するなど、柔軟な対応を見せたので、「巻き返し政策」は中途半端なものに終わった。
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