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沖縄/沖縄返還

沖縄は太平洋戦争での戦場となり、日本敗戦に伴いアメリカの施政下に置かれた。1952年に琉球政府が置かれたが、自治は限定的であり、広大な米軍基地は、1972年に沖縄の施政権が日本に返還されてからも存続している。

アメリカの施政権下の沖縄

 太平洋戦争末期の沖縄戦は日本の国土で唯一、アメリカ軍が上陸し、防衛にあたる日本軍との熾烈な陸上戦となり、民間人にも多大な犠牲が生じた。1945年6月23日、日本軍の抵抗が終わると、アメリカは沖縄を軍政下に置いた。1951年サンフランシスコ平和条約によって日本は独立を回復したものの、沖縄は小笠原とともにアメリカの統治が続けられることとなった。翌1952年、サンフランシスコ条約が発効すると同時にアメリカは沖縄を文民統治に改め、アメリカ民政府を設置、そのもとでの沖縄の自治を認め、琉球政府を発足させた。琉球政府には主席を長とする行政府と並んで立法府、裁判所が置かれて、形の上では三権分立の形態をとったが、政府主席の任免はアメリカ民政府長官が行う(1968年には公選制が実現した)など、限定的な自治機関に過ぎなかった。
 アメリカの施政権にあった沖縄は、日本の主権回復後も本土と切り離され、日本に行くためにはパスポートが必要であり、また通貨はドルが使用され、道路はアメリカと同じで車が右、人は左、とされた。1953年にアメリカ民政府が軍用地を拡張するため、土地収用令を出し、広大な住民の土地が収用されてたため、島民の不満は強かった。56から58年には接収された土地の使用料をめぐって全島的な抗議活動が起こり、問題が深刻になっていった。 → 琉球/琉球王国

沖縄の施政権返還

 1960年代から活発な祖国復帰運動が始まった。すでに1950年代にはアメリカ軍による土地収用に対する全党的な反対運動が起こっていたが、この段階から運動は組織な祖国復帰運動へと転換し、1960年には沖縄県祖国復帰協議会が労働組合、婦人団体などを結集して県民運動の中心となった。アメリカは当時、ベトナム戦争が激化し、沖縄の基地がますます重要になっていたため、その安定的な運用も課題となっていた。
 1967年に日本の佐藤栄作首相とアメリカのジョンソン大統領の間で、3年以内に返還することで原則的に一致、外交交渉が続けられ、1969年には佐藤=ニクソンの日米首脳会談が行われ、日米共同声明が発表された。そこでは日米安全保障条約の堅持、「核抜き・本土なみ」の返還が合意された。この共同声明に基づき、1971年6月に沖縄返還協定が調印され、1972年5月15日に返還が実現した。
 この沖縄返還協定は、日米安保体制の沖縄への適用、嘉手納基地などアメリカ軍基地の継続使用、アメリカ軍政下時代の日本の請求権の放棄、日本から3億2千万ドルのアメリカへの支払いなどが決まっていた。沖縄の主権は日本返還されたものの、沖縄を冷戦下の東アジアにおけるキーストーンとする戦略と、日本をアメリカの核の傘の下に置くという日米安保体制の枠組みによって、広大な米軍基地はそのまま継続することとなったた。特に問題となった「核兵器」に関しては、日米合意に基づき「核抜き・本土なみ」となったことで核爆弾(ミサイル)などの軍事施設は撤去されたが、原子力潜水艦の寄港などは密約によって認められているのではないかという問題が指摘されている。

普天間基地返還と辺野古問題

 1973年のベトナム戦争終結、1989年の冷戦の終結によって沖縄米軍基地をとりまく環境も変化したが、基地は依然として存在を続けた。そのような中、1995年にアメリカ兵による少女暴行事件をきっかけに米軍基地反対運動が高揚した。特に宜野湾市のアメリカ軍海兵隊の普天間基地は市街地の中にあり、世界一危険な軍事基地などとも言われていたが、1996年に普天間基地の代替施設への移転で合意が成立した。しかし代替地については海外・県外も含めて検討された結果、名護市の辺野古に海上基地を作る案が浮上、全県的な反対運動が展開されたが、1998年に辺野古受け入れを認める県知事が当選し、受け入れが事実上決まった。
 2002年に具体的に辺野古沖埋め立てが決定したが、08~09年に反対派が優勢となり、2009年には民主党の鳩山由紀夫内閣が成立、鳩山内閣は「最低でも県外」と主張してアメリカと交渉した。しかし交渉に失敗、結果として辺野古容認と取られたため、鳩山内閣退陣の一因ともなった。2014年、県知事選で反対派の推す県知事が当選、法的不備を理由に辺野古移設を拒否した。それに対して国は基地建設のための埋立を強行、国と沖縄県の溝が深くなっている。2022年5月15日は、返還(復帰)から50周年となるが、依然として沖縄県には在日アメリカ軍基地の70%が駐中し、辺野古基地建設工事は続いている。<2022/5/5>
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