父親のアナスタシオと二人の息子ルイスとアナスタシオのソモサ（ソモーサとも表記）一家は、ニカラグアで第二次世界大戦を挟む１９３７年から１９７９年の約４０年間を通じ、ごく一時期にその友人に譲った以外、大統領の地位を独占した。

一族による長期政権

　アナスタシオ＝ソモサは、大農園主の家に生まれ、政治家となってからアメリカ軍に訓練された国防警備隊を味方にして次第に頭角を現し、３４年には反米闘争を続けていたサンディーノ将軍を暗殺してアメリカから信用を勝ち取った。１９３６年にクーデタを起こして実権を握り、大統領に就任、４７年にはいったん辞任したが、背後から新任大統領を操って絶大な権力者として君臨した。１９５６年に暗殺されると、息子のルイス＝ソモサが大統領となり、ソモサ家の権力は維持された。彼も６３に辞任したが、息のかかった友人を次々に大統領にして裏からコントロールした。６７年に彼が死ぬと大統領の職は弟のアナスタシオに引き継がれ、７４年に再選された。

ニカラグア革命で倒される

　このようなソモサ一家の長期政権は、産出する金の輸出などによる富を独占したことと、アメリカの支援があったことによって維持されていたが、権力の腐敗や反対勢力に対する人権抑圧は次第に国の内外で高まっていった。１９６１年に左派はサンディニスタ民族解放戦線を結成し、公然と反ソモサの活動を開始し、７０年代には労働者や学生だけではなく、中間層にも反ソモサの運動が広がった。サンディニスタとは、ソモサによって暗殺されたサンディーノ将軍の名に由来する。
　１９７９年６月９日にサンディニスタは武装蜂起し、ニカラグア革命が勃発、アナスタシオ＝ソモサ大統領はついに辞任し、翌年、亡命先のパラグアイで暗殺された。