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ラメセス2世

前13世紀、エジプト新王国の王。ヒッタイトと抗争しカディスの戦いで講和。アブシンベル神殿を造営した。

 ラメセス2世 Rameses Ⅱ は、エジプト新王国の第19王朝の王(在位1290~24年ごろ)。トトメス3世と並ぶエジプト史上の英主の一人とされ、レメセス大王とも言われる。治世の前半は、ヒッタイトに奪われたシリアの回復のための戦争、後半は王権を飾る巨大な神殿の建造にあけくれた。

ヒッタイトとのカディスの戦い

 ヒッタイトとの抗争では前1286年頃、2万の軍を率いてシリアに進出、カデシュの戦いでヒッタイト王ムワタリと対決、一時は危機に瀕したが、超人的な活躍で態勢を立て直し、勢力圏を確保した。  両国は長期にわたる戦いののち、平和条約を締結した。これは世界最初の国家間の平和条約とされている。このカデシュの平和条約では、互いの領土不可侵、相互の軍事援助などを取り決めている。講和の背景には共通の敵として、地中海東部から海の民の侵攻が始まっていたことが考えられる。

アブシンベル神殿の建造

 エジプト新王国のラメセス2世は、ヒッタイトとのカデシュの和平が成ってからは巨大な建造物の造築に務め、テーベに有名なカルナック神殿、ルクソール神殿を完成させ、さらにナイル上流のヌビア地方にアブシンンベル神殿を建造した。

アブ シンベル神殿 (トリップアドバイザー提供)
 アブシンベル神殿はカデシュの戦いを記念してラメセス2世が建造した神殿である。テーベよりもかなり南下したナイル川の上流ヌビア地方にあり、岩壁に彫り込んだ最奥部には、4体の巨大な石像が彫られている。これはいずれも高さが20mにも及ぶ巨大なもので、4体ともラメセス2世の姿であるとされている。
 この神殿は、実はエジプトのナセル大統領が、1954年に打ち出したアスワン=ハイダムの建造によって水没することとなったため、UNESCOが各国によびかけ、1960年から崖ごと多数のハーツに切り分けて、ダムの水面より、約40m高いところに移築する工事を行った。これは世界的な文化財の保存の機運が高まる機会となり、ユネスコが世界遺産を指定するきっかけとなって、この遺跡群そのものが1979年に「アブシンベルからフィエラまでのヌビア遺跡群」として世界遺産に登録された。
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ノートの参照
1章1節 エ.エジプトの統一国家