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ミロのヴィーナス

ミロのヴィーナス
ミロのヴィーナス

ヘレニズム美術の代表的な遺品。エーゲ海のミロ島で発見され、現在はルーヴル博物館所蔵。

 ヘレニズム期の代表的ギリシア彫刻。ミロは発見された島の名前で、ヴィーナスとはギリシアのオリンポス12神の中の愛と美の女神アフロディテのラテン名。1820年、エーゲ海のキュクラデス諸島の一つのミロ島(メロス島)で、一農夫の手によって発掘され、のちに駐トルコのフランス大使が購入し、翌21年国王ルイ18世に献上され、現在はパリのルーヴル美術館に所蔵されている。高さ202mの大理石像で、制作年代は前2世紀末のヘレニズム時代だが、前4世紀の古典期の作品を模したものと言われている。
(引用)ミロの美神の首は恐らく他の古典期の首に範をとりながら極めて個性的である。遠くを見る小さい眼、高い鼻(鼻先は修補)、特異な口角の上がりを見せる小さな唇、小さい顎・・・・・この神の気品と人間的な個性との結びつき、恐らくそこから来る一種ヒロイックな感じが(たとえヘレニズム末期ではあっても)原作のみがもつ大理石の肌理の美しさと相俟って現代人の心を捉えるのであろう。・・・・とまれ《ミロのヴィーナス》は我々に残された等身以上のアフロディテの像で、首まで完備する唯一の原作像である点で貴重である。・・・・<沢柳大五郎『ギリシアの美術』1964 岩波新書 p.251~256>

Episode ミロのヴィーナスの失われた手

 ミロのヴィーナスの左手と右前腕は失われているが、この像が発見されたとき、この像に属すると信ぜられる林檎を持った左手と右前腕がともに発見されている。しかし、まだ完全な復元案でていない。林檎を持つ左手がこの像のものすれば、「勝利のアフロディテ」(パリスの審判で金の林檎を得た女神)ということになる。しかし、もし「ミロのヴィーナス」に両手まで完存していたならば、今のように人を惹きつけるであろうか、と美術史家沢柳大五郎は言っている。<同上 p.254~256>
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ノートの参照
1章2節 コ.ギリシアの生活と文化
書籍案内

沢柳大五郎
『ギリシアの美術』
1964 岩波新書